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  美術鑑賞 2017年 ・ 平成29年
鑑賞日:2017年 1月16日
会 場:21_21 DESIGN SIGHT

デザインの解剖展フライヤーデザインの解剖展フライヤー

佐藤卓さんによるデザイン学校の授業のようで、工業デザインの真髄を見た思いです。

本展は全面協力している食品会社、株式会社明治の商品をデザインの切り口で多角度から見せていました。

会場には商品の美味しさや機能性を伝えるための考え抜かれたデザインが並べられ、そのデザインに決定された過程を惜しげも無く公開していました。

会場内では、商品名が繰り返し音声で流されていました。視覚だけでなく聴覚でも商品のアピールをするようです。これはある意味衝撃で、人間の思考や感性、場合によっては民族性までわかっていないと優れたデザインは生まれないなと思いました。

デザインの解剖展デザインの解剖展デザインの解剖展

デザインの解剖展フライヤーデザインの解剖展フライヤーデザインの解剖展フライヤーおいしい牛乳の横にはひらがな部分を自由に変えられるつみきがありました。みなさん自分の名前などを積んではしゃいでいました。みんなが積み木を取り合っていたので希望の文字がなかなか揃わず、とりあえず文字を積んで写真を撮ってみました。

デザインの解剖展フライヤーデザインの解剖展フライヤーデザインの解剖展フライヤー

佐藤卓さんのお名前を知ったのはNHKのドキュメンタリー番組だったと思います。お米のパッケージデザインができるまでを追っていました。その時に感じたのは、この人はデザイナーの域を超えて、コンサルタントだなと思いました。そういえば、田中一光さんもそんな話をしていましたね。

鑑賞日:2017年 3月 4日
会 場:日本カメラ博物館

日本カメラ博物館 ずっと気になっていた博物館。昨年のブローニー展が見られなかったので、念願の鑑賞です。

博物館コレクションということで、たくさんのカメラが所狭しと並んでいました。

大きな箱だったカメラはどんどん小型化されていきます。報道で使うため、より小型で軽いものが求められたのでしょう。技術者の切磋琢磨が見られます。

「昔は鳩にカメラを付けていた」
という話を聞いた時は「そんなばかなー!」と思っていましたが、本当にありました! インターネットが生活の一部になり、デジタル画像をすぐに目的地に送れる現在では、カメラを付けられた鳩が健気に思います。

日本カメラ博物館 この日は学芸員、井口芳夫氏による講習会「カメラと写真の歴史」がありました。これがとっても興味深かったです。

カメラと写真の歴史を順を追って詳しく解説してくれました。印画の色々を実際に手で触れて見せてくれ、説明に説得力が加わりました。これ、かなり貴重な体験だったと思います。

カメラの進歩はウェッジウッドなどの絵つけの技術者がより細密な絵を描くために発展したという側面もあったことに驚きました。『浮世絵から写真へ 視覚の文明開化』では浮世絵師が写真技術の進歩に戦々恐々といていた様子を見ましたが、海外でも似た部分があると思いました。日本でのカメラの歴史はほぼ世界と同時進行だったことも驚きです。最新の技術がすぐに輸入されていたようです。とても勉強になった講習会でした。参加できてラッキーです。

鑑賞日:2017年 3月16日
会 場:日本橋高島屋8階ホール

池田理代子展池田理代子展「ベルサイユのばら」好きのワタクシ、ウキウキで行って参りました!

本展は「ベルサイユのばら」に特化したものではなく、池田理代子氏の仕事を振り返るもの。2012年に松屋銀座で開催された『ベルサイユのばら展』とは主題が違っていて、人間・池田理代子に迫る展覧会でした。

とは言いながらも「ベルサイユのばら」には比重を大きくおいていて、宝塚の名場面や衣装の展示などもありました。漫画の原稿と宝塚のパネルが並んで展示されてもいました。

池田理代子展私は「ベルサイユのばら」意外の池田さんの漫画を読んだ事がありません。なので、本展の作品群はとても興味深かったです。

池田さんは「ベルサイユのばら」を描く以前にも社会的なテーマを題材にした漫画を描いていました。ジャーナリストの眼を持った方なのではないかと思います。そして、それだけではないところがこの方の魅力でもあるのですが、とてもロマンティックな方なのだと思います。「ベルサイユのばら」という傑作はただ歴史を追っただけの作品ではなく、池田理代子の目と手を持ってして描かれた傑作なのです。

池田理代子展池田理代子展池田理代子展池田理代子展

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高島屋2017年バレンタイン高島屋2017年バレンタイン高島屋2017年バレンタイン

ちなみに、今年の高島屋のバレンタインのイメージキャラクターにオスカルが使われていました。そこで買い物をした時に本展の招待券をいただきました。上の画像3点はバレンタイン時の日本橋高島屋の正面玄関です。

鑑賞日:2017年 4月 6日
会 場:寺田倉庫G1ビル

DAVID BOWIE 展 昨年1月に亡くなったデヴィッド・ボウイの回顧展。展示品は充実しているし、見せ方も工夫されていました。

会場内に入ると音声ガイドの貸し出しがあります。これは入場料に含まれているので全員が持たされます。このシステムが結果的にすばらしい効果をもたらしたと思います。

一般的に音声ガイドは鑑賞者が作品の前で立ち止まり、該当のボタンを押すなどの操作をして展示品の解説を聞きます。しかし本展では展示物に近づくと自動的に音楽が流れたり、ボウイ自身の言葉が流れます。展示品にグングン引き寄せられます。

私はデヴィッド・ボウイの音楽はあまり興味が無いので詳しい事は知らなかったのですが、60年代にデビューをしたそうです。その当時のデヴィッド・ボウイはハンサムな育ちのいい青年といった印象。その後、誰もが知る70年代のボウイになっていきます。一体何があったんだろうと思っていたら・・、後半のブースにヒントがありました。

後半に坂本龍一と北野武が『戦場のメリークリスマス』で共演した時の思い出と共に、ボウイの人柄等の話をしています。ここで坂本龍一が「カンが強い」と言っていました。ボウイはインタビューする坂本龍一の質問の先をいって答えていたそうです。カンの良さが最大の武器となり、時代を先取りしていったのでしょう。

デヴィッドボウイ展フライヤーデヴィッドボウイ展フライヤーデヴィッドボウイ展フライヤー
ボウイが出演した映画や演劇を切り貼りした映像のコーナーがありました。そこで観た『エレファントマン』の舞台はすごかった。この器用な演技もボウイのカンの良さから生まれたものでしょう。舞台の様子のほんの一部分しか見ていないのに、この舞台は傑作だと思いました。

デヴィッドボウイ展デヴィッドボウイ展ボウイは容姿に恵まれ、どの時代の写真でもクールで美しい。自分発信の音楽だけではなく、各方面のクリエイターたちが彼を使いたかったのもわかります。そしてきっと彼のカンの良さで、交流していったクリエイターやアーティストからクリエイティブな部分を吸収し、ますます魅力的になって行ったのでしょうね。

最後はボウイと音楽に囲まれたブースで、ライブ会場の様でした。その場から離れない人達が結構いました。わかるわかる!

デヴィッドボウイの周期表面白いなと思ったのがボウイの周期表。交流のあった人たち、ボウイに影響与えた人達の名前が並んでいます。この人達と出会って化学反応が起こったと言いたいのかもしれません。

ミック・ジャガーは元素記号が『Ja』で登場しています。(本当の周期表ではドブニウムの位置)奥様のイマンは元素記号が『I』で一番目立つ右下。本物なら『I』はヨウ素ですね。(本当の周期表ではオネガソンの位置)驚くのはアンジーが忘れ去られずにいること。元素記号『Ag』で本物なら銀ですね。(本当の周期表ではヨウ素の位置)

このアイデアはいいですね。いただきです。私も私自身の周期表を作ってみようかな。ボウイと共通するのはミック・ジャガーとスティーブ・ジョブズとティム・バーナーズリーかな。

鑑賞日:2017年 4月28日
会 場:国立新美術館

草間彌生展草間彌生展草間彌生さんの名前を知ったのはルイ・ヴィトンとのコラボバッグでした。ビビッドなカラーに毒々しいほどのドットが印象的でした。

本展は草間さんの初期から現在までの作品を一挙に展示したものです。前衛芸術家といわれる草間さんですが、わりとわかりやすい内容だったと思います。

エントランスからすぐのブースは一番最近の作品群。写真撮影OKだったので、みなさん写真を撮りまくっていました。作品はプリミティブで岡本太郎さんを思い出しましたが、見ていくうちにちょっと違うなと…。子供が殴りがきしたような模様は良く見ると生きた細胞のようでした。体内かな?

草間彌生展  草間彌生展
エントランスのポップなデザインの部屋を抜け、初期の絵を観ているとなぜか『辛い』という感情になりました。それが当時の草間さんの感情であったかはわかりませせんが、見ていて痛々しくも辛い感覚に襲われるので足早に進みました。

草間彌生展その先には人間の肌のような蛇革のような油彩が続きます。さらにその先は、私にはどうしてもエロティックだったり性を強調したようにしか見えない作品が続きます。特に『太陽の雄しべ』は凝視できませんでした。(私の感性が変わってるのか?)

かぼちゃの絵やオブジェはホッとさせてくれるモチーフです。かぼちゃの表面の模様や形体がなぜか僧侶の袈裟を思い出させました。

会場から出ると、特設の小さな部屋がありました。中に入る前に係員さんに丸い小さなシールを手渡されました。そのシールを室内のどこにでも貼っていいとのことでしたので貼ってきました。参加型アートですね。1990年に見た『踏絵・オノヨーコ展』でも参加型のアートがありました。(板に釘を打ちました)

出品作品すべてを見て感じたのは、「この人は戦ってるな」という事。何を相手に戦ってるのかはわかりませんが、思いを込めて制作した作品ばかりだったと思います。

鑑賞日:2017年 5月 2日
会 場:東京都写真美術館

日本写真開拓史

土方歳三のイケメンぶりを記録した写真がフライヤーになった本展は『日本写真開拓史』。これは2015年に鑑賞した『浮世絵から写真へ 視覚の文明開化』、今年3月に鑑賞した『世界のカメラ100選』と、私の中の写真史三大展覧会の最終章になりました。

本展は写真が日本で爆発的に広がっていった様子が見られます。地の利もあり、薩摩藩が逸早く研究をしていたようです。これは2016年に見た『色の博物誌』でも思いましたが、新しいものを取り入れることが藩の力を知らしめるものでもあったはずです。(純粋に好奇心もあったとは思いますが)

開港と共に海外から写真技師が来日し、その弟子となった日本人が増えていきます。恐らく、海外の写真技師はほぼ忠実に日本の姿を写し取り、本国へ報告する役割があったのでしょう。

弟子となった日本人は、それまでに見たことがなかった技術に夢中になります。ダゲレオタイプやアンブロタイプの写真が残っています。当時の日本は世界から大きな遅れもなく、ほぼ最新の技術が入っていたようで、これはとてもラッキーだったと思います。

左右に画像が2つ並ぶステレオ写真を見て、忘れていた記憶が甦りました。子供の頃、雑誌にこれと同じ付録がありました。紙で作った箱を通してみると立体に見えるといったものだったと思います。描かれていたのはドラえもん等のキャラクターだったと思います。この他にも日光写真など、当時の子供雑誌には写真に関係する付録がわりと多かったことを思い出しました。

鑑賞日:2017年 5月19日
会 場:国立新美術館

ミュシャ展アールヌーボーのデザイナーとしてのミュシャは広く知られていますが、本展のメインの作品はチェコに戻ってからのスラブ叙事詩。ミュシャ晩年の20作品が展示されていました。スラブ叙事詩の習作は2005年の『ミュシャ展』で見ていましたが、本展では画家の底力を見た思いです。アールヌーボーのポスター類はあまり多くなく、画家としての一面を大きく取り上げていました。

NHKでミュシャの特集番組を見てミュシャの晩年を知りました。パリですでに名声を手にしていたにもかかわらず、故郷のスラブ民族の迫害に心を痛め故郷に戻り、16年間に20作品を残します。大きいものは6m×8mと壁画の大きさです。これだけの大きさの作品を1年に1枚以上のペースで描き上げる情熱は相当強いものだったと思います。

ミュシャ展20点にもなるスラブ叙事詩は、伝えるためのもの、残すためのものだと感じました。確固たる意思を持って描かれたものです。大変素晴らしいと思ったのですが、とにかく人が多く鑑賞中もバンバンぶつかってくる環境なのでじっくり見られず、ちょっと残念でした。人があれほどいなかったら、もっと絵に引き込まれたでしょう。(でも、図録の作り方はとてもいいと思いました)

写真撮影可能な絵が4枚ありました。人の頭を撮影するようで、ちょっと無理だと思ったのですが、丁度タイミング良く左の写真(大きな絵の一部です)だけ撮れました。モデルはミュシャの娘ヤロスラヴァさんです。

本展はスラブ叙事詩がメインで、ミュシャの人柄が再発見出来る作品展だったと思います。ただ、鑑賞の環境はとても悪いものでした。人が多いので空調が利かないのか蒸し暑く、出品目録で扇ぐ人があちこちでパタパタと音を出していました。これだけ人を入れているので仕方がないのかもしれません。また、日常のトーンで話す人が多くいて、会場内はザワザワと非常にうるさい。音声ガイドは耳を塞ぐためのもののように思えました。国立の美術館がマナーの悪い人を作り出してるようです。映画館は年々快適になっていくのに、美術館はひどくなっていってます。

ミュシャ展フライヤーミュシャ展フライヤーミュシャ展フライヤー左は昨年配布のフライヤー。右二枚は最新版。A4版の見開きでA3版です。デザイン違いのフライヤーも持っています。

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ミュシャ展の入場者数が凄いと思ったら、同美術館で開催中の『草間彌生・我が永遠の魂』はもっとすごかった! この日は『草間彌生展』閉会10日前だったので余計すごかったのでしょう。チケット売り場も大行列でしたが、入場待ちの人の列がこれまで見たことがないほどの長さでした。にょろにょろと蛇が体を休めているようでした。(怒り出すおじさんもいました。気持ちはわかる)あの人数が閉館までに入場できたのかな? 押し込んだ? 会場内はどんなことになってるんだろう? 私が草間彌生展を鑑賞した時は、人は多かったもののストレスになるほどでもなかったので、今考えるとラッキーでした。

鑑賞日:2017年 6月20日
会 場:弥生美術館

長澤節展

セツ・モードセミナーの創始者、長澤節の展覧会。

学生の頃、あこがれた学校がありました。桑沢デザイン研究所とセツ・モードセミナー。アートの世界でビックネームを排出している両校にとても興味がありました。

セツ・モードセミナーは入学試験もなく、自由そうだという印象があり、入ってみたいなと思ったものでした。(実際に行動に起こしていませんが)

生誕100年を記念して開催された本展。弥生美術館ではこれまで見たことがないほどの、たくさんの鑑賞者がいました。セツ・モードセミナーは4月に閉校したようなので、縁のある方々が集まったのでしょう。

長澤節展半券長沢節は文化学園卒業後、中原淳一の口利きもあり挿絵画家になったようです。得意だったのはスタイル画だったそうです。

美術館入り口すぐのデッサンを観て驚きました。デッサンでありながらモデル達が生き生きしてるのです! アニメーションのように今にも動き出しそう! 顔の表情もいいからでしょうね。唇の描き方ひとつで、モデルのチャーミングさが表現されています。こんな生き生きしたデッサン見たことない! 素晴らしい! 
長沢節は骨をデッサンするらしく、したがって痩せたモデルを好んだようです。

二階にはプライベートで残した水彩画がありました。色使いがとても素敵です。

作品の合間に長澤節氏の言葉がたくさん紹介されていました。戦後日本のアートシーンに多大な影響を残していることがよくわかります。「本当に美しいものがわかる人間になってほしい」とは、美しいものを知ってる人にしか言えません。

彼の残した言葉の一つ一つが感動的でした。もっと早く、私が20代の頃に彼の哲学を直接学べていたら、どんなに幸せだったか。今さらそんなことを言ってもしょうがないので、私が死ぬまでに彼の残した言葉と出会えたことに感謝することにしましょう。

私が高校生の時に大好きだった沢田研二。そのアートデレクションを担当していた早川タケジを通して、私も長澤節の影響をちょっぴり受けていたかもしれません。
『アートファッション』で早川タケジさんのファションイラストレーションも展示されていました)

鑑賞日:2017年 6月20日
会 場:夢二カフェ 港や

竹久夢二オマージュ展
かつて竹久夢二が経営した絵草紙店と同じ屋号のカフェが竹久夢二美術館・弥生美術館の敷地内にあります。『長澤節展』の後、はじめて立ち寄りました。

カフェの壁には10人のアーティストによる10枚の作品が飾られていました。入場料はなく、カフェの利用者のみが観賞できました。SHIBUYA GIRLS POPとコラボしていて、10名のアーティストたちが夢二のオマージュ作品として、それぞれが解釈する大正ファッションに身を包んだ大和撫子が描かれていました。

描かれた大正ファッションの女性達は現代的なお顔でありながら、郷愁を誘います。

展示されていた作品のポストカード、10枚セットをいただきました。

鑑賞日:2017年 6月30日
会 場:世田谷美術館

エリック・カール展 エリック・カール展
平日だというのにたくさんの方が鑑賞していました。多くは子育て中のママさん世代。お子さん連れも多く、賑やかでした。

もう10年以上前でしょうか、NHKの教育テレビでエリック・カールの特集番組を見ました。アトリエ内を映し出した興味深い番組でした。番組内ではエリック・カールの絵本の作り方を余すことなく見せていました。時間のあるときに、アクリル絵の具で色付した薄い紙を作り、ストック。絵本を作る時に、その紙から気に入った部分(色合い)を切り抜き、貼り合わせて絵本を作っていました。とっても楽しそう! そしてその創作の様子を本展で見せてもらえた思いです。

エリック・カール展エリック・カール展

番組内でエリック・カールは、自由に色付けされた紙に浮かび上がる色の肌を動物の肌にと選び出していました。本展で動物の肌をじっくり見ていると、恐らく偶然から生まれる美もあるんだろうと思い、西武美術館の『横尾忠則展』でも同じことを考えたのを思い出しました。ストックされた紙から最適な部分を選び出す(見つけ出す)感性がそのまま彼の作品の個性になっています。

最後の方でレオ・レオニの作品があり(数年前にbunkamuraで行われた作品展を見はぐっていたので、ちょっと嬉しかった)、エリック・カールとの作風の違いが感慨深かったです。

レオ・レオニはひとつひとつが小さく、完成された美しいイラストのような印象。一方エリック・カールはダイナミックな絵画のような印象です。展示されていたエリック・カールの作品はどれも絵本に収まるサイズですが、絵画のような大きな画面での作品を見たいと思いました。

展示品は絵本だけではありませんでした。立体作品や衣装デザインなど、絵本だけにとらわれない仕事ぶりが、まだまだ私たちを魅了してくれるでしょう。

鑑賞日:2017年 8月17日
会 場:森アーツセンターギャラリー

少年ジャンプ展vol.1少年ジャンプ展vol.1


六本木のスタンディングバー、ルイーダの酒場へ家族と行き、ドラクエ気分抜けきれぬままに勢いで行ってしまったジャンプ展。入場料が高いなあと思いましたが、楽しかったです。

創刊から1980年代までの漫画が展示されていました。超人気作品には個別にブースが出来ていて、狭いながらも世界観を表現していました。テレビアニメになった作品は社会現象になったものも少なくありません。

いろんな作品を見る中、『北斗の拳』の原画を観た時に「漫画家っていうのはロマンティックな人なんだな」と思いました。この点では少女漫画となんら変わりはありません。そんな人達が作り出す物語じゃないと人を惹き付ける作品は作り出せないのでしょうね。

それにしても誰もが知る大作が多いこと多いこと! 「これもジャンプなの!?」の連続でした。漫画界のエリート雑誌なんですね。私がジャンプの発売日を指折り数えるほど好きだった漫画は『Dr.スランプ』。夫の一押しは『DRAGON BALL』。結婚してから二人で爆笑したのが『こちら葛飾区亀有公園前派出所』。そして、見ていたアニメは数しれず…。家族みんなで楽しめたものの、娘は…「『ハンター×ハンター』がないじゃん!」心配無用! 1980年代以降の作品は来年『ジャンプ展vol.2』として作品展示されます。来年も家族みんなで見に行こう!

少年ジャンプ展vol.1ステッカー少年ジャンプ展vol.1ステッカー少年ジャンプ展vol.1ステッカー少年ジャンプ展vol.1ステッカー少年ジャンプ展vol.1ステッカー
会場出口付近で半券を見せるとステッカーがもらえました。ステッカーは10種類。何が入っているかわからないお楽しみ袋。我が家5人で5種類のステッカーが当たりましたよ!

鑑賞日:2017年 8月29日
会 場:東京藝術大学美術館

藝大コレクション半券

チケットをいただいたので行ってきました。東京藝術大学美術館は初めてで、「藝大に入った!」とちょっと嬉しかったことを覚えています。

東京藝術大学のコレクション展。コレクションは東京藝術大学の前身である東京美術学校当時から集められた古美術品から現在活躍中のアーティストの卒業作品まで、バラエティに富んでいます。1987年に見た『東京芸術大学創立100年記念展 教官作品』とは少し趣きが違います。

古美術はやはり仏像や宗教画などが多いです。美術が多様化し、馴染みやすくなって行く様がとても興味深かった。学のない私でさえ楽しめるものに変貌して行きます。特に面白かったのは自画像のコーナー。自画像の捉え方が色々で皆さん個性的でした。以前、東京都写真美術館で見た『現代女性セルフ・ポートレイト展』を思い出しました。

「パンドラの箱が開いた!」とサブタイトルまで付いていたので期待して行ったら、思ったほど作品数はなく、肩すかしな感じでした。第1期と第2期で大幅に作品の入れ替えがあったようです。みんな一度に見たかったな〜。私は第1期に展示されていた『悲母観音』を見たかったな。残念。

鑑賞日:2017年 8月30日
会 場:三菱一号館美術館

レオナルド×ミケランジェロ展フライヤー レオナルド×ミケランジェロ展半券

レオナルド・ダヴィンチ(1452-1519)やミケランジェエロ・ブオナローティ(1475-1564)という大きな名前が掲げられているにもかかわらず、なんだか地味な印象がありました。素描中心の作品展だったからでしょうか。

落書きのような小さな素描がたくさんありました。文字も大変小さく、書き残したいけれど誰にも見られたくないといった意思があるようにも思えました。そんな作品群に向上心を見た気がします。

彼らの描く男たちはみな筋骨隆々です。(中世ヨーロッパでどのように鍛えていただろう? 脂肪がないと人間は本来こんな身体ってことなの?)また、その姿をなによりも美しいと感じた芸術家達。人間の描写は筋肉の描写だと言っているようです。

鑑賞日:2017年 9月21日
会 場:松坂屋上野店

『キャシー中島 愛を綴るキルト展』とは違い、パッチワークというよりも布を使ったアートでした。

モダンキルト展 モダンキルト展 モダンキルト展

ルーク・ヘインズの作品展。彼にとってパッチワークはアートの表現手段でしかありません。ダリやデヴィッド・ボウイなどをモチーフにした、今まで見たことがないタイプの作品でした。

他にも10名のアーティストの作品がありました。これらの作家は”従来のパッチワーク”でした。私の一番のお気に入りはフクロウや動物達がいる作品かな。

モダンキルト展会場は写真撮影OKだったのでほとんどの方が写真を撮っていました。最近は撮影OKの展示物も多くなりましたね。SNSの影響でしょうね。

ちなみにこのチケットは日暮里の生地屋トマトで買い物をした時にいただきました。

鑑賞日:2017年10月18日
会 場:東京国立近代美術館

日本の家日本の家


蒼々たる建築家の名前が挙げられていたので、興味を持ちました。

戦後は家を造る事が国策でもあった様で、同じような家がコピーのように出来て行きます。質より量と言ったら失礼だけど、こんなふうにできていったんだなーっと思いました。

同じ時期でもゆったりした家はいくつもあって、建築家は家を周りの環境に合わせて美しくカッコ良く造っています。でもそれは広い敷地のある豪邸の話です。

都会の狭い敷地ではペンシルハウスになってしまう事もしばしば。狭い空間にいかに効率よく部屋を詰め込むかって話になって行きます。建築家は狭い敷地の家にはあまり乗り気じゃなさそうだなぁとも感じました。ま、それはしょうがないか…。

狭い家に住む私は自身の現実を見せつけられたようで、羨望と落胆を行ったり来たりの展覧会でした。

鑑賞日:2017年10月18日
会 場:東京国立近代美術館

MOMAT コレクション半券


近代美術館所蔵のコレクション展。『日本の家』展のおまけで見たのですが、見てきてよかった!

久しぶりに加山又造の作品に再会しました。
加山又造の「天の川」。なんだか恋人に会ったような、ふわっと包まれるような不思議な感覚に陥りました。本当に素敵な作品です♥ 2009年国立新美術館で開催された『加山又造展』で見た時も美しいと思ったのですが、今回はなぜか恋心を抱くかのように胸にグッとくるものがありました。こんな感覚は初めてです。絵に恋した?

『加山又造展』では個人蔵になっていた「天の川」ですが、近代美術館の所蔵になったという事でしょうか。今後は定期的に見られるかもしれないと思うとちょっと嬉しい。

鑑賞日:2017年10月18日
会 場:東京国立近代美術館

彫刻フライヤー


これも近代美術館所蔵のコレクション展。『日本の家』展のおまけで見てきました。

んー、なんだかよくわからない作品ばかりでした。メッセージが何も読み取れませんでした。特に「森の死」という作品は大きくてとても印象的だったけど、凡人の私には全く解りませんでした。みんな見てすぐにわかっちゃうのかな?

鑑賞日:2017年 12月 2日
会 場:弥生美術館

はいからさんが通る展入り口はいからさんが通る展入り口

TOHOシネマズ上野で『はいからさんが通る』を観賞後、てくてく歩いて弥生美術館へ。

あまり広くない弥生美術館の、あまり多くない展示品ですが、『はいからさんが通る』の世界観をしっかり見せてくれました。

漫画の原稿から紅緒さんの生き生きとした姿が見られます。戦争の影が見える中を生きる人々は生き延びることに貪欲で、見る者に力を与えてくれます。他のキャラクターも実に魅力的で暗い時代背景の中をパワフルに生きています。

原稿の他に、当時の女学生が着ていた袴や靴の展示や当時の写真が展示されていて、リアルな日本女性の姿を見せてくれました。

2階の踊り場ではニッコリ微笑む紅緒さんが立っていました。お隣は期間によって違っていたようで、この日は青江編集長。娘は「もっと早く来れば少尉だった!」と残念がっていました。

鑑賞日:2017年 12月 6日
会 場:OLD/NEW SELECT BOOKSHOP 一日

メリークリスマスフライヤー

佐々木彩音さんと渡辺真悠さんの作品展。
小さなお店の狭い展示スペースに、ユニークなテキスタイルの展示と、可愛らしい絵と映像作品がありました。

テキスタイルは布地に毛糸を埋め込んだような不思議なものがありました。初めて見る布のアートです。

映像作品は天使が空をふんわり飛んでいるほんわかした作品でした。やわらかく、優しく、ずーっと見ていられます。癒し系です。可愛らしいのでグッズ展開があればいいのにな。(ポストカードしかなかったです)

会場のお店、店名がユニーク。帰りには姉妹店の百日へ行きました。中古や新品の書籍が並ぶ、味のある本屋さんです。小説はもちろん、我が家にある展覧会の図録があったり、若い頃に高くて買えなかったセシルビートンの写真集があったり。でも結局購入したのは内藤ルネの自伝。ちょっと面白い本屋さんでした。

鑑賞日:2017年 12月11日
会 場:国立新美術館

安藤忠雄展フライヤー建築家、安藤忠雄氏が設計した建築物を多角度から見せる展覧会。

エントランスすぐに安藤さんの沖縄で描いたスケッチがありました。猫の絵を見て、この方は優しい方だなと思いました。個人の住宅に打ちっ放しの壁を造る安藤さんを斬新に思っていたのと同時に家の寒々しさをも感じていたので、その猫の絵は意外に思いました。

この猫の絵を観た時に、先日見た『日本の家』とは見せるものが違うと思いました。美術館は何を見せたいのかテーマが必ずあるんだとあらためて感じました。本展は、安藤氏が手掛けた建築物だけではなく、同時にそのお人柄を見せる展覧会です。

エントランスから続き、個人宅の展示がいくつも並んでいました。決して広くない敷地内に開放感を与える中庭があったり、専用の階段を造って完全に孤立した部屋を作ったりと、個人宅にもアイデアが溢れていました。それは安藤氏が持つ”家族”や”家庭”の哲学が形になったのだと思いました。彼に設計を依頼する人は、設計云々よりも彼自身の持つ哲学に共感する人のはずです。

安藤忠雄展フライヤー安藤忠雄展フライヤー光の教会はキリスト教徒でない私にも衝撃を与えた建築物です。この展覧会の為に屋外に再現されていました。光を放つ神々しい十字架にみなカメラを向けていました。

彼が設計する建築物は、個人宅から美術館など大きくなっていき、さらには世界からも需要があることが紹介されていました。個人宅をあんなに素晴らしくデザインできる人なのだから、私のような凡人にはわからない公共施設の細かな使い勝手の良さを提供しているのでしょう。

本展開催期間中、都内の安藤氏の建築物をめぐってスタンプを押してくるスタンプラリーも実施していましたが、私は時間がなく行けませんでした。ちなみにスタンプ台が置いてあった場所は以下の8か所。

会場出口付近にはオリーブ基金の植樹の映像がありました。ずいぶん前からオリーブ基金については知っていましたが、安藤氏がかかわっていたとは全く知りませんでした。

私が初めて安藤忠雄氏を知ったのはテレビで見たコシノヒロコさんのご自宅で、その家はとても寒そうに見えました。名のある建築家の設計とはいうものの、こんな寒そうな家を建てる人って冷たい人なんじゃないのかと勝手に思っていましたが、本展でそのイメージがすっかり変わってしまいました。