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  美術鑑賞 2016年 ・ 平成28年
鑑賞日:2016年 1月28日
会 場:東京都現代美術館

オノ・ヨーコ展フライヤー久しぶりにオノヨーコの作品を見られると思い、楽しみにしていました。作品よりもどちらかというと人物にスポットを当てているので、ジョンとヨーコのファンなら楽しい展覧会です。

エントランスにいくつもの虫かごがぶら下がっていました。私たちは虫かごの外ということでしょうか? 虫かごの中を見ろというメッセージでしょうか?

エントランスからすぐの展示品は穴という作品。ガラス板に弾丸を貫通させたような作品で、穴から放射状にひび割れが広がります。ジョンの最後を連想してしまいます。続くブースにはジョンとヨーコの写真を使った作品が並んでいました。ジョンのファンには楽しい作品展だと思いますが、ジョン・レノンとは違う世界、以前見た『踏み絵』のような芸術家としてのヨーコの作品群を期待していた私はちょっとガッカリしてしまいました。

オノ・ヨーコ展フライヤー本展終盤に『私たちはみんな水』という作品がありました。えんじ色のお椀に水が入っているだけのものに、一つずつ名前が掲げられていました。人間、一皮向けばみな同じということでしょうか。簡単な要因ですぐに水はこぼれてしまうという危うさを表現しているのでしょうか。

自由学園の頃の作文も展示されていました。すべてカタカナで、入学の喜びを綴ったものでした。私は一度だけ、フランク・ロイド・ライトが設計した自由学園明日館に入ったことがあります。シンメトリーの美しい建物でした。ヨーコの実家は裕福だったのでしょう。(安田財閥の家系でした!)戦前の貧しい時代にあのような美しい教室に身を置き教育を受ける幸せは、その後のヨーコの感性を豊かなものにした一因でもあると思います。

音の展示もありました。日本語の歌が流れているブースがあり、私が入った時にはnammyouhourengekyouとひたすら繰り返す音が流れていました。日本人にはお経だとすぐにわかりますが、知らない人が聞いたら”音楽”なのかもしれませんね。同美術館で行われたヨーコのパフォーマンスが動画で流れていたのですが、なんだかやたらと叫んでいました。凡人の私には解りにくいものでした。

鑑賞日:2016年 1月28日
会 場:東京都現代美術館

TOKYOフライヤーTOKYOフライヤーなんとな~く『オノ・ヨーコ展』が拍子抜けしてしまったので、そのお隣でやっていた本展『TOKYO』も見てきました。コンセプトがよくわからないのですが、恐らく過去と現在の東京を見て、未来の東京(2020年かな?)を盛り上げようといった事なんだと思います。

ま、全体的によくわからない作品群でしたが、ばっちりはまったのがYMOのブースでした。東京が世界的にも注目されていた1980年代、YMOは当時のカルチャーの中心的な存在でした。YMOの登場はニューミュージック全盛の当時、革命的でした。YMOは音楽だけでなくファッションやアートなども牽引していました。YMOが大人気だった当時私は中学生で、友人たちとレコードを貸し借りしながらみんなで音楽を共有したものでした。

TOKYOフライヤー本展のYMOブースではレコードジャケットやCM、グラビアなどが展示されていました。フジカセットのCMで使われていた3人の人形も置いてありました。『マルティプライズ』のジャケットで使われたのもこの人形かな? バラバラにならず、綺麗に保管されているのですね。

三人の衣装が展示されていて、かなりの細身で驚きました。3人のお隣に横尾忠則氏の服が。ん? なぜ? と思ったら、どうやら横尾忠則氏は音楽を奏でないアートディレクター的な存在としてYMOのメンバーということになっていたそうです。なるほど。YMOが音楽の世界だけでなく多方面に渡って先駆的だったのは良いスタッフに恵まれていたという事ですね。もちろん彼らの才能と魅力なくしては良いスタッフに恵まれるはずもないのですが。

当時の三人が演奏しているフィルムもあり、懐かしく見ました。濃い化粧がまたなつかしい。すっかり忘れていた温泉マークもなつかしい。坂本龍一さんの大ファンだった友人が「教授、教授」といつも大騒ぎしていたことも思い出しました。

そのお隣のブースはYMOのグッズや交流の深いアーティストの写真などが飾られていました。矢野顕子さんはもちろん、美しいデヴィッド・シルビアンの写真などもありました。(スティーブ・ジャンセンは無し)

YMOのブースでテンションアップしたワタクシ。その後の作品は良く解らないものが多かったです。薄暗い路地裏の小道を再現したブースや、渋谷の街中でネズミを追いかける様子を写し出したビデオや捕獲したネズミをポケットモンスターのピカチュウに彩色して展示するなど、皮肉っぽい展示など。対象的に、蜷川実花さんの写真はブロマイドのように個人を写し出し、ジェリービーンズのようにカラフルに飾られていました。

本展でも、そして同日鑑賞した『オノヨーコ展』にも横尾忠則さんの名前に出会いました。日本の芸術や文化において欠かせない人物ですね。

鑑賞日:2016年 1月28日
会 場:東京都現代美術館

テーブルウェア・フェスティバル2016半券 誘われて東京ドームへテーブルウェアを見に行ってきました。ハイソな方々のための高尚な世界で私などが顔を出す場所ではないのですが、目の保養をさせていただきました。

そんなワタクシでも若い頃はヘレンド、マイセン、ジノリ、リヤドロ、バカラ、クリストフル等々といったブランドにとても憧れていました。が、大人になった現在、高級洋食器使用とはとてもとてもほど遠い生活をしております…(汗)

東京ドームのフィールドいっぱいにテーブルウェアコンテストの入賞作品発表と和洋食器の販売所が併設され、誰でも楽しめる工夫がされた展示会でした。

テーブルウェアは出来上がった食器をいかに美しくセンス良く使うための提案。そしてそこには必ず《食事》があり、一緒に食べる《人》が表現されていました。そこにあるのは幸せな時間なのです。

コンテストの入賞作品にはそれぞれストーリー性があって楽しく、また細部にまでこだわった美しさがありました。出品者はどんなところでセンスを磨くんだろう? どんなところで食事をしてるんだろう? と出品者の生活をあれこれ想像しながら見てきました。

テーブルウェア・フェスティバル2016  テーブルウェア・フェスティバル2016
各企業のブースには美しい食器が展示されていました。

大倉陶園の食器には品があります。昭和初期に資生堂パーラーの食器も作られていたようで、当時の食器が展示されていました。確か、大倉陶園の食器は皇室でも使われていたように思います。

食器にはそれぞれ用途に応じてたくさんの種類があり、使いこなしている家庭は余裕があるのだと思います。空間の余裕と知識の余裕です。当然作る側は使う側よりも深い知識と技術が要求されるわけで、食器を生み出すというのはクリエーター側の技術と遊び心が試されるんだろうなと思います。

回りにはたくさんの販売店があり、こちらの方が混雑していました。きれいなテーブルウェアを見た後に、自宅のテーブルをいかに快適に美しく彩るかと考えながらみなさんお買い物されていたのでしょう。友人もたくさん食器を買い込んでいました。私は食器は買わず、一目惚れした信楽焼のカエルの一家を購入してしまいました。あまりテーブルウェアを学べてないですね(汗)

鑑賞日:2016年 3月 6日
会 場:松屋銀座8階イベントスクエア

アートたけし展
 アートたけし展
お笑い芸人であり映画監督でもある北野武氏の作品展。絵画の世界ではいったいどんな表現をするのか、とても興味がありました。


アートたけし展アートたけし展絵画を生業にしている人と、ロニー清志郎の様な人との作品は受ける印象が全く違います。哲学のようなメッセージ性が少なく、自由で明るく、見ていてとても楽しいです。恐らく、人に見てもらうという前提のない、自分の余暇を使って楽しんでいる作品だからでしょう。そして、本展も楽しいものでした。

全ての作品が無題。タイトルがなかったのですが、全ての作品に顔がありました。こんな顔やこんなシーンが心に残っているんだな〜などと思いながら見ていました。

アートたけし展会場内すべて楽しく見ていたのですが、ちょうちんアンコウの絵でびっくり。足が止まってしまいました。美しく、素晴らしい。キラリと光っていました。「できることなら家に飾りたい」「この人は絵を描く才能もあるんだな」と感心してしまいました。(映画監督なんだから絵心があるのは当たり前なんですけどね)

作品展終盤に特別展示として、ヴェネチア映画祭の金獅子と銀獅子、フランスの芸術文化勲章のシュバリエとコマンドールが飾られていました。恭しく鎮座ましましているのではなく、親しみやすく楽しいアートと同じ流れで、さりげなく勲章が置かれていました。こういった演出からも、世界の北野の余裕を感じます。

右は会場最後にあったフォトスポット。足立ナンバーのタクシーです。ドライバーのお隣に座って写真が撮れます。このタクシーはちゃんと希望の地に送り届けてくれるのかな? たけし流のユーモアですね。

鑑賞日:2016年 3月19日
会 場:東京都現代美術館

ピクサー展本展はスタジオ創立30周年記念という副題が付いて、ピクサーのロゴになっているルクソーJr.からスタートします。エントランスにはジョン・ラセター、エド・キャットムル、スティーブ・ジョブズの写真もありました。

表情豊かで個性的なキャラクターの原画やフィギュアが並びます。しかし本展は動かない作品だけではありませんでした。

ピクサー展始めにびっくりしたのが立体の人形がたくさん並ぶゾートロープでした。回転することにより人形が動き出します。私が初めてゾートロープを知ったのは1984年(昭和59年)に見た『エジソン展』でした。紙に絵を描き入れ、回転する事によって描いた絵が動いて見える、パラパラ漫画をレベルアップしたようなものでした。しかし本展のゾートロープは平面ではなく立体です。リアル飛び出す絵本のようで驚きました。鑑賞されていたみなさんから歓声が上ってました。ちなみにこの立体のゾートロープはジブリ美術館にあるものからヒントを得たようです。(ジブリ美術館に同じタイプのゾートロープがあるのでしょうね)

そして2階の展示室でも感動。無数のウィンドウがある大きなスクリーンに、それぞれに異なるピクサー映画のイメージ画や世界観を動画で写し出していました。その中を、視点が、まるでドローン撮影しているように浮遊しながらウィンドウに入り込んでは飛び出して、別のウィンドウに入って行くという動作を繰り返す動画になっていました。画面が固定されることなく浮遊する感覚が面白いと思ったのと同時に、1986年(昭和61年)『ダリ 愛の宝飾展』で見たダリの作品『ポルトリガトの聖母』の浮遊している感覚を思い出しました。

スタッフが映画の世界観を共有するためにストーリーのシーンを通しで見せるカラースクリプトはとても素敵でした。(ラッシュプリントではありません)すでにここで映画の完成度がわかってしまうかのようです。

小さな子供連れの親子がたくさんいて、ピクサー人気を物語っているようでした。(我が家も子供たちと一緒に見に行ってきました。)ちびっ子たちは指を指しながら口々にキャラクターの名前を言っていました。ヒット作が多いピクサーなので、展示されているキャラクターすべてがスターなのですね。

鑑賞日:2016年 5月 1日
会 場:松屋銀座8階イベントスクエア

アナと雪の女王展ディズニー映画の制作過程において、プリンセスがいかにして誕生したかがわかる作品展。私は長女と次女と一緒に行きましたが、カップルが多くて驚きました。

白雪姫、シンデレラ、オーロラ姫、オールドムービーのプリンセスにはそれぞれモデル(実在の人物)がいます。大変美しい女性たちで、映画内のプリンセス誕生に大きな影響を与えています。

『美女と野獣』『アラジン』など、主題歌がアカデミー賞を取った作品は盾が飾られていました。『A Whole New World』はレコーディングの様子も映像で紹介されていました。アイコンタクトをとりながら歌う二人は実際に愛し合う恋人同士のようでした。

アナと雪の女王展映画『マレフィセント』や『シンデレラ』で使われた衣装や、劇団四季のベルの衣装が飾られていました。私は1月に劇団四季のリトルマーメイドを観劇しましたが、アリエルの衣装は、衣装というよりも魚の尾っぽ(!)でした。また、ディズニーテーマパークの衣装も飾られていました。(右の写真は本展ではなく、劇団四季のリトルマーメイドの看板です)

アナと雪の女王展アナと雪の女王展アナと雪の女王展

会場の最後にカーテンで仕切られたブースがありました。入ってみると冷んやりと寒く、3方向をスクリーンに囲まれた部屋でした。しばらく待つと正面のスクリーンに雪の絵。そして『アナと雪の女王』の大ヒット曲『Let It Go』のイントロが流れました。『アナと雪の女王』の映像を見ながら歌が聞けました。その歌は非常に凝っていて、短いパートごとに各国のエルサの声を担当した(であろう)方々がそれぞれ母国語で歌い繋いでいました。面白い試みだし、平和のリレーだなぁ〜と思いました。日本語はエルサの声を担当した松たか子さん。「ありのままの姿見せるのよ」とサビの一番いいパートでした。

鑑賞日:2016年 6月 6日
会 場:レンタルスペースさくら

Dr.まあやのカラフルデブテレビ東京の深夜番組「家、ついていってイイですか?」で Dr.まあやさんを始めて見た時は衝撃でした。恐らく100キロは超えているであろう大きな身体をカラフルなカツラや洋服で飾り、陽気に話す脳外科医。スター誕生の現場を目撃したようでした。
その後、バラエティ番組に出演されているようですが、医師の仕事も続けられているようで、そのバイタリティにただただ驚かされます。

本展会場は小さなスペースで、展示されている洋服もあまり多くなかったです。

プラスティック素材を使った洋服はカラフルな点や線の集合体で、鎧のようにがっしりしたものでした。また、脳のイラストのジャケットなどがありました。着る人を選ぶ服です。Dr.まあやさんの強烈なキャラクターが着てこそ生きる服です。

会場に展示されている服や販売していたグッズなどを見ても、やはり深夜番組内で見たDr.まあやさんのご自宅のインパクトには勝てない。私はあのお部屋から生まれる強烈なエネルギーのおすそわけをいただこうと足を運んだのですが、洋服の販売会なので意図がちょっと違ってました。

会場内にはDr.まあやさんがいらしたのですが、雑誌かなにかのインタビューで独占され(!?)お声をかけることができませんでした。残念。Dr.まあやさんのお声はとてもやわらかく、癒し系だな〜と思いながら会場を後にしました。

鑑賞日:2016年 7月30日
会 場:日本橋高島屋8階ホール

本展はキャシー中島さんのハワイアンキルトを展示した作品展。40数年作り続けた作品群で、作品の大きさと多さに驚きました。一緒に行った次女も驚きと共に感動していました。

キャシー中島キルト展半券キャシー中島キルト展フライヤーキャシー中島キルト展フライヤー

大きな作品の中に細かく繊細な模様が広がります。模様は主に花などの植物を題材にしたものと幾何学模様がありました。作品の大きさから考えても、費やした時間は大変なものだったと思います。芸術作品でありながら実用性をも併せ持つアメリカンキルト。自身のスキルを上げるためだけでなく、家族への想いを一針一針入れながら仕上げたように感じました。アメリカンキルトの出発点は家族への愛情なのかもしれません。

キャシー中島さんはハーフタレントで美しいモデルでした。私が子供の頃、まだ独身のキャシーさんが勝野洋さんのことを「勝野洋、いい男よねー。誰に言えば会えるの?」と番組内で言っていたのを見て子供心に「いい男」という表現に驚いた覚えがあります。それからどれほどの月日が経ったのかはわかりませんが、実際に勝野洋さんと結婚した時には更に大きな衝撃でした。「この人は希望を叶えたんだ!」と。当時よりはふっくらとした体型になりましたが、その笑顔とパワフルな行動は全く変わってないと思います。

鑑賞日:2016年 8月14日
会 場:松屋銀座8階イベントスクエア

ひつじのショーン展クレイアニメーション『ひつじのショーン』の原画や撮影セットが展示されていました。平面の紙に描かれたキャラクター設定にはすでにいたずらっぽい性格が現れていました。

撮影セットは思った以上に大きめでした。人形本体には粘度の柔らかさをイメージしていたのですが、 それほど柔らかくないかも。触ったわけではないのですが、表面は弾力のあるプラスチックのような硬さをイメージさせるものでした。人形本体の表情からは、いたずらで自分本位な人間くささが伝わってきました。愛らしいだけではないところがこのアニメのキャラクターたちの魅力なのです。

ひつじのショーン展ショーンは『ウォレスとグルミット』から生まれたキャラクターだと初めて知りました。(セーターを着たショーンがとってもかわいい!)

銀座松屋で開催される展覧会はアニメやマンガなどキャラクター商品に直結するものが多いのでグッズ売り場がかなり広いです。そして毎回その罠(!?)に引っかかり、散財してしまいます。

ちなみに…。
となりのブースではガンダム展が行われていて、会場外のモニターにジオン軍の映像と一緒に銀河万丈さんの「ジークジオン!」という叫び声がエンドレスで流れていました。ショーンのグッズ売り場は方々で羊の鳴き声がし、そこへジークジオンの掛け声ループが重なり、ものすごくうるさかったです。(それにしてもギレンの銀河万丈さん、神出鬼没ですな)

鑑賞日:2016年 8月15日
会 場:国立新美術館

わかってはいたけど、覚悟はしていたけど、大変な人出でした。絵を鑑賞する環境ではありません。
ルノワール展フライヤールノワール展フライヤー

美術館はストレスなく鑑賞できる見せ方の工夫をすべきではないかと思います。国立の美術館なのだから。

終始、人の隙間からの鑑賞になりましたが、大きな作品は遠目でもなんとか鑑賞できました。今回フライヤーやチケットに使われている『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』は止まって鑑賞できるコーナーと立ち止まらずに歩いて鑑賞するコースと二手に別れての鑑賞スタイルになってました。絵の中と外、同じくらいの混雑さでしたね。

裸婦も数点ありました。裸婦の肌の色の中に緑やグレーがあり、梅原龍三郎を思い出しました。肌の中の緑色はテクニックとして使うだけではなく、もしかしたら実際にあった色なのかもしれないと感じました。それは、当時の流行の家具など、部屋の中にあの色があって、肌に反射していたのかもしれないと。人だけではなく空気をも描いているということでしょうか

帰宅後、当サイトの『梅原龍三郎展』の当時の鑑賞日記を見てびっくり! 梅原龍三郎はルノワールに絵を習っていたようです。ルノワール展で梅原龍三郎を思い出した自分、偉いっ!

鑑賞日:2016年10月29日
会 場:アサヒビール神奈川工場

アサヒビール神奈川工場某団体のバスツアーでアサヒビールの工場見学をしてきました。

入り口にはニッカウヰスキー創始者の竹鶴政孝と妻のリタの写真が飾られていました。「ニッカウヰスキーってアサヒビールの傘下なの?」と疑問を持ちながら見学開始です。

参加団体ごとに案内人が付き、ビールの原材料から出荷までの工程をテンポ良く説明してくださいました。ホップの芳香の良さや廃棄物の再利用に感動しましたが、参加当日は土曜日だったので工場が稼働してなかったことが残念でした。

見学コースの廊下にアサヒビールの沿革がありました。ニッカウヰスキーに資本参加していたことをこの沿革で知りました。この他にも廊下にはアサヒグループの商品が飾られたショーケースがありました。ビールの他、整腸剤のエビオス錠やダイエット商品まで。数あるアルコール類の中に…、あ! ランソンがある! 2006年、STONESのコンサートのゴールデンサークルのお土産品の中に入っていたシャンパンLansonの輸入元はキリンビールでした。アサヒになったんですね。

工場見学の最後にはビールの試飲がありました。我が団体の皆さんはこちらの方が楽しみだったようです。3種のビールをそれぞれ350ml飲めるということで、大喜び。工場見学後のバスの中はみなさんハイテンションでした。

鑑賞日:2016年11月30日
会 場:国立新美術館

かなり多くの作品群で見応えはあったのですが、衝撃を受けることはありませんでした。過去に見たことのある作品が多かったからか、私の感性が鈍ったのか。

ダリ展半券作品はダリの生涯を追って初期から晩年へと流れるように展示されていました。初期の絵は大変美しく、裸婦は画面から飛び出てくるようでした。ダリの真骨頂とも言えるシュルレアリスムの作品は期待していたほど多くはありませんでした。ただ、映像作品はいくつもあり『白い恐怖』のグレゴリー・ペックが写し出されちょっと嬉しかったです。ウォルトディズニーとの作品『デスティーノ』はかなり興味深く、ダリの世界観で男と女を表現していました。これが本展の収穫かな。『アンダルシアの犬』や『黄金時代』も上映されていました。

ダリ展フライヤーダリ展フライヤーダリ展フライヤー

『ラファエロの聖母の最高速度』も興味深かった。三越美術館で見た『小麦粒に砲撃された頭部』はこの作品の習作だったのかな? どちらも女性の顔と小さなボール(粒子?)が重なる印象的な絵です。

全体的にイラストのような軽いタッチの作品が多かったように思います。イラストと言えば1991年に三越美術館で見た『ダリ展』でも展示されていましたが、その数は本展よりも多かったような気がします。絵画は2006年上野の森美術館で開催された『ダリ回顧展』と同じ作品が多く、また作品数も先展の方が多かったように思います。ジュエリーは1984年大丸東京店の『奇蹟のダリ宝石展』及び1986年〜1987年ミナミ美術館の『ダリ 愛の宝飾展』の方が断然多く、本展では5作品のみ。しかもダイヤの数などが少ないドレスダウンした作品です。(先の展覧会はとにかくゴージャスでした)ですが、本展で展示されていない『ルビーの唇』と『時間の眼』がプリントされたグッズが売られていました。なぜ? 国立新美術館、どうした?

ダリ特有のエロティックな作品はあまり多く見られなかったです。『記憶の固執』などの大作を見たかったのですが、国立の美術館で招致できないということは本国へ行かないと見られないということでしょうか。

ダリ香水チラシは2種類ありました。どちらも波打つデザインで、これは新しいと思いました。

今回音声ガイドを借りました。ナビゲーターは竹中直人さん。竹中さんの声のトーンが揺れるので、視覚よりも聴覚に神経をとられてしまいました。鑑賞を邪魔された感じです。入場料金の三分の一にもなる貸し出し料金で、国立の美術館は解説に徹することなく、何か新しいものを表現したかったのでしょうか? (竹中直人さんは嫌いではないですよ)

グッズ売り場には香水が置いてありました。でも試香紙はなし。香水瓶がガラス瓶(恐らくガラス)の高価なシリーズ(スキャパレリ?)とプラスティック容器のリーズナブルなシリーズの2タイプの商品がありました。
左の写真は20年以上前にカネボウ化粧品で販売していたダリの香水シリーズです。トワレですが。

鑑賞日:2016年12月14日
会 場:目黒区美術館

色の博物誌フライヤー色の博物誌フライヤー

絵の具に含まれる色素はどこから調達しているのか。きっとそんな疑問から探究を始めたであろう本展。有機物、無機物から抽出する美しい色に豊かさと美しさを見せつけられた思いです。

本展の展示内容は実際に色材として使われた鉱石や植物などが一般の鑑賞者に親しみやすく、そしてわかりやすく解説されていましたが、実のところは美術家や歴史学者が生涯研究している内容をまとめ上げた研究発表なのではないでしょうか。私のような無学な者がのこのこ出かけて行ってお恥ずかしい限りでした。

合成顔料が生まれる前の色材には工夫がなされています。くには幕府の命により各藩が制作した地図。浮世絵は庶民に広まったアート。国絵図には古来から使われてきた岩絵の具(鉱石を砕いて粉にしたもの)に貝胡粉を混ぜ、不透明にしたものを使用していたようです。浮世絵には植物系染料が多く使われていたようです。その知恵と工夫はそのまま地域の豊かさ、文化の発展に直結しているのではないかと思いました。なので場合によっては藩を挙げての芸術品の制作になったのかもしれませんね。きっと世界各地で同じようなことが行われていたのだと思います。

合成顔料しか知らない私には、彩色の苦労など考えたこともありませんでした。合成顔料が生まれる以前の画家たちはものを見て表現する才能の他に、色材を取り扱う職人の仕事もこなさなければならなかったのですね。