鑑賞日:1999年4/1〜4/13 |
会 場:日本橋高島屋8階ホール |
雑誌『それいゆ』の表紙画家という認識しかありませんでしたが、中原淳一は多才なアーティストでした。
瞳に強い意志が見られる美しい女性たち。中原淳一の描く大人の女性には高貴な美しさがあります。中原淳一は言葉選びもセンスが良く、戦中戦後の貧しい時代、日本女性に品位を落とさず、心も美しくある事を訴えています。
中原淳一の原点は人形制作でした。絵のように美しい人形たち。驚くのですが、辻村ジュサブローが影響を受けています。
自ら針仕事のできる中原淳一はスタイルブックも出版します。ファッションイラストレーションではなく、より実用的なスタイル画です。影響されたデザイナーは多く、コシノジュンコ、高田賢三、金子功、そして長沢節までも!(影響を受けた人の名前を挙げると枚挙にいとまがありません。芸能界や文化界の人々との交流も多いです)
中原淳一の功績は『それいゆ』を通して戦後の日本女性に意識改革を提唱し、ひいては後の芸術家を育て、日本のカルチャーの一端を担ったことです。戦後復興期の花で終わらずに、その系譜の芸術家の膨大な芸術品をも現在の私たちに見せ続けていることです。
2018年に、中原淳一に師事した内藤ルネ(懐刀?)の作品展『内藤ルネ展』を見ました。中原淳一の綺麗で美しい女性とは違い、内藤ルネは可愛らしいイラストを表現し続けました。
鑑賞日:1999年 4/30〜6/6 |
会 場:BUNKAMURA ザ・ミュージアム |
本展は有名デザイナーや有名ブランドを取り上げた展覧会ではなく、名は知られてなくても確かな腕を持つ職人達の仕事ぶりを紹介した展覧会です。取り上げられているのは以下の通り。
職人毎にブースが分かれ、仕事部屋を再現していました。仕事道具や保管されている素材などがそのまま残され、職人だけががちょっと休憩に出て行った部屋のようでした。
仕事ぶりが目と空気で感じられ、オートクチュールのアトリエに迷い込んでしまったかのような楽しさがありました。大量に保管される素材の中からベストの素材を見つけ出す職人の姿が見える様でもありました。
デザイン画から立体の洋服を縫い上げる作業はとてつもなくたくさんの工程を経て出来上がるものだとあらためて思いました。素材が持つ特徴を組み合わせることで生まれる服という作品。これは指揮をとる天才的なデザイナーと、優れた職人の技術がないと出来ない芸術です。とても感動的な作品展でした。
本展だけでなく、図録も工夫があって大変美しい写真集になっています。(これこそがファッションフォトグラフ!)ただ…。これまで鑑賞したどの作品展の図録よりも重く、腕や手が疲れます。図録の巻末に日本版 VOGUE 創刊のお知らせがありました。(1999年7月28日)創刊当時の VOGUE は NIPPON と入っていたのですが、すぐに JAPAN に変更になりました。
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本展とも図録とも日本版 VOGUE とも関係ありませんが…。
元素記号113番ウンウントリウム(これは仮の名称)は日本に命名権が与えられ、ニホニウム(Nihonium)と言う名称になりました。当初の大方の予想の『ジャパニウム』ではなく『ニホニウム』にした理由を命名権を与えられた理研の森田浩介氏は「周期表の中に日本語(Nihon)を入れたかった」と語っていました。ちょっとかっこいいです。
鑑賞日:1999年 7/22〜8/10 |
会 場:日本橋高島屋8階ホール |
あまりよく覚えていないのですが、子供を連れて見に行った記憶があります。作品展の内容は覚えていないのですが、ミュージアムショップであれこれ迷い歩いた記憶がうっすらあります。
悔やまれるのが…。半券を捨ててしまったこと。確かトトロの絵だったような…。私のばかばかばか!
鑑賞日:1999年11/14〜11/23 |
会 場:皇居東御苑 |
馬車がすごいと聞きつけ、行ってきました。会期がたったの10日間。うまく情報をキャッチできて、素晴らしいものを見せていただけて本当にラッキーでした。場所が皇居ということもレア体験でした。
公開されていたのは御料車の他、装束、旗、盆栽など。やはり馬車は輝くように美しく、目を奪われました。おとぎ話ではなく実際に使われていたことにあらためて驚いたり、手入れが行き届いてピカピカだったり、車高が高いと思ったこともはっきりと覚えています。車に比べて大きく見えるのはその美しい佇まいからでしょうか。
場所は江戸城跡である皇居東御苑。鑑賞当日は気持ち良い晴天で、時間がゆっくりと流れているようでした。
2020年に『明治神宮の鎮座』でも馬車を見ました。また、皇室関係では2019年に国立科学博物館で行われた『天皇陛下御在位三十年記念展示 天皇陛下の御研究と皇居の生きものたち』を鑑賞しています。
鑑賞日:1999年11/11〜1/23 |
会 場:東京都写真美術館 |
友人に本展を紹介されて行ってきました。東京都写真美術館へ行くのは1991年に見た『セルフポートレート展』以来。ずいぶんと立派な美術館になったと思ったものでした。当時とは場所も少し違うと思います。
60年代のアメリカ版『VOGUE』の表紙にアービング・ペンの作品が多かったのは専属のカメラマンだったからだろうと勝手に思っていたのですが、専属のカメラマン
ではなく、表紙のデレクションを任されていた彼が、提案を聞き入れてくれないフォトグラファーの代わりに自分で撮影を始めたからだそう。なるほど、人に歴史ありでそんな経緯があったのですね。写真の神様(?)に引き寄せられたのかもしれませんね。
アービング・ペンはファッション・フォトグラファーだと思っていたのですが、必ずしもそうではなかったようです。この人は人間を撮りたかったのだと思いました。彼の撮影するヌードにヘルムート・ニュートンのようなエロティシズムを感じません。ただただ人間なのです。リサ・フォンサグリーヴスが彼の配偶者だということも初めて知りました。上品で美しいグラビアはペンの目によるものです。デヴィッド・ベイリーが撮るジーン・シュリンプトンやマリー・ヘルヴィンともちょっと違います。