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  美術鑑賞 2020年 ・ 令和2年
鑑賞日:2020年 1月15日
会 場:国立西洋美術館

約600年にわたり栄華を誇ったハプスブルク家。マクシミリアン1世から皇妃エリザベートまでの主に8人にスポットを当て、絢爛豪華な生活用品や収集した絵画などが展示されていました。

 ハプスブルク展半券 ハプスブルク展フライヤーハプスブルク展フライヤー

展示物は実際に使われていた生活用品と、コレクションである絵画に大きく分かれます。絵画を深く愛したハプスブルク家の人々。結果、その時代時代の優れた画家を育てていくことになります。

西洋美術館ハプスブルグ展会場内に入りすぐ目に飛び込んでくるのが甲冑。複数の甲冑を比べながら見ていると装飾がどんどん派手になっていきます。自分を高貴に美しく見せようとしたのでしょう。華美な装飾を見ると、実戦で使うものから装飾品になっていったのでしょうね。また甲冑を見る限りでは、当時のヨーロッパ人は随分と細身で小柄だったと推測できます。

宗教画もたくさんありますが、自分達の肖像画も残しています。(近況報告でお互いの自画像をやりとりしていました)マリア・テレジア、その長男ヨーゼフ2世、娘のマリー・アントワネットはさすが親子ですね。顔が似ています。

女流画家マリー・ルイーズ・エリザベト・ヴィジェ=ルブランの描いたマリー・アントワネットの肖像は透き通るような肌と白いドレスの美しさに、見入ってしまいました。大きさもあり圧巻です。(この絵は畳何畳分かなぁと、大きさを畳に換算して考えてしまうところが、私って日本人だなぁ〜と思ってしまいまいた。当時はどうやってこの大きさの絵を運んだのでしょうね)

肖像画の中には命を吹き込まれているかのような、ひっそりと呼吸をしているように感じる作品がいくつかありました。(その感覚は2000年に小田急美術館で見た『四谷シモン 人形愛』で感じたものと同じでした)数百年前に画家の前でポーズをとった人物は、こんなに長い時間を経てたくさんの人々に見られる事になるとは思わなかったでしょうね。(実は逆で、現代の私たちが観察されてるのかもしれませんが)

教会でもないのにこれだけたくさんの美術品を所有していたというのはハプスブルク家に強大な力があったことに他なりません。また美術を愛好する人々が多かったのは「陽の沈まない帝国」ハプスブルク家の人々の心の余裕でしょう。(それとも現実逃避?)

ちなみに私は1992年に東武美術館で開催された『栄光のハプスブルク家展』にも行ったこともあります。この時にも、本展で展示されてた『青いドレスの王女マルガリータ・テレサ』を見ています。

本展のフライヤーを4種類持っています。すごい力の入れようですね。
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鑑賞日:2020年 1月19日
会 場:ギャラクシティまるちたいけんドーム

浅野温子よみ語りフライヤー浅野温子さんが神話のよみ語りをライフワークにされていることは知っていましたが、それは主に神社で開催されていました。今回プラネタリウムという異空間を演出する場所であることと、無料(な、なぜ無料なんだ!?)ということにも興味を惹かれ、行ってきました。

ジーンズに白いシャツ、素足で登場した浅野温子さん、和楽器演奏者の効果音のみで声のお芝居が始まりました。

お話は「月と星になった姉妹」継母にいじめられる幼い姉妹が命を落としてしまい、その居場所を天に移したという話。1月15日に岩手の大船渡で行われていたナマコ引きのいわれだそうです。浅野さんは声優さんのように声色を使い分け、感情豊かに演じ、そして朗読されていました。プラネタリウムの星の動きは時間の経過の演出であり、雲の上は天上界の女神の住むところでもありました。この演目にぴったりの場所ですね。

ギャラクシティプラネタリウムフライヤー浅野さんはプラネタリウムを意識してか、青いアイシャドウに頬には星の形のペインティング(シールかな?)のメイクをされ、ペディキュアは青いラメの入ったものでした。相変わらずお綺麗。昔勤めていた会社の近くでTVドラマ『101回目のプロポーズ』のロケをやっていた事もあり浅野さんをお見かけしたことがあります(武田鉄矢さんも)。その頃と変わらない可愛らしい笑顔でした。

こちらのプラネタリウムは都内最大なのだそうです。

私が子供の頃に入ったプラネタリウムは、投影部分が半球状になっていて、床面は円で、その中心に投影器があり、座席は投影器の周りにバームクーヘンのように広がり、時には椅子をリクライニングして見上げる形でした。

しかしこちらのプラネタリウムは半球状に変わりはないのですが、床面がフラットではありません。半球の縦に割った半分側が座席で、反対の半分側と天井部に投影用スクリーンがあるといった形。座席は階段式になっていて、かなりの高低差がありました。そんなわけで、スクリーン側、一番下の部分が舞台として使われ、よみ語りもそこで行われました。(観客は浅野温子さんを見下ろすかたちです)

鑑賞日:2020年 1月22日
会 場:文化服装学院 F 館ギャラリー

ファッション画展

世界のファッション業界でも名の知れた文化服装学院。その現役の学生のファッション画展です。

『ファッション画展』ということだったのでスタイル画だと思ったのですが、かなり自由なイラスト展といった感じでした。

ファッションとは関係のない、ゲーム世界の住人のようなイラストや、そのままファンシーグッズになるような可愛いキャラクターなど、バラエティに富んでいました。ただ、作品の対象が何であれ、絵を描き慣れている人の作品はそうでない人の作品との差がはっきりわかり、世界観がすでに出来上がっていました。もっと洗練され、プロになっていくのでしょう。

文化服装学院と言う学校は服飾の学校でありながら、洋服だけにとらわれず、アートを作り出す職人を育てているんですね。

鑑賞日:2020年 2月 1日
会 場:ギャラリー・オカベ

嵯峨英二展ハガキ銀座にあるギャラリー・オカベ、狭く細長いギャラリーに沢山の人が。その中心に画家の嵯峨英二さんがいらっしゃいました。

全ての作品に描かれているのは猫のタマ。明るくカラフルな背景の中に元気なタマが飛び跳ねていました。まるで人間が手足を伸ばしているかのように、体いっぱいにのびのびと遊ぶタマ。いたずらっぽくエネルギッシュで、おとなしくじっとしている子はいません。ほんわかと暖かい気持ちになる絵。そして元気をもらえる絵でもありました。

やわらかな、可愛らしい絵なのですが、なぜか私は岡本太郎さんの作品を見たときの感覚を思い出しました。画風もモチーフも全く違うのですが…、なんでだろう?

嵯峨さんは鑑賞されている全ての方にお声をかけていらっしゃいました。その中にはお知り合いでしょうか、お子さんもいました。お優しそうですが、かなりエネルギッシュな方。展示されている元気なタマは画家本人の姿ではないのかと思いました。

鑑賞日:2020年 6月10日
会 場:国立科学博物館 
    日本館地下1階多目的室
    地球館2階常設展示室内

本日は6月10日、時の記念日。そして、時の記念日制定100周年の記念すべき日でもあります。

「時」展覧会フライヤー「時」展覧会フライヤー

子供の頃、6月10日が祭日でもないのに、時の”記念日”という名がついている事を不思議に思いましたが、私の周りにはその疑問に答えられる大人はいませんでした。

そして時が流れ。

本日、その謎が解けました。五十路にして疑問解決です。

話は日本書紀にまで遡ります。
日本書紀に残された記述によると、天智天皇が漏刻(水にうかべた矢の浮き沈みによって時間を計る水時計)を使って時間を計り、時刻によって鐘を鳴らし時間を知らせていました。その日付も記載されていて、西暦671年4月25日。これを今の暦にすると6月10日なのだそうです。

そして、長い時が流れ。

1920年(大正9年)5月〜7月、東京教育博物館(現 国立科学博物館)で『「時」展覧会』が開催されました。庶民に時間、時刻の意識改革を促す、大掛かりな企画展でした。おそらく博物館主導ではなく、国策だったのでしょう。

1920年6月10日、時の記念日に制定されたこの日、正午に各地で鐘など鳴らしたようです。しかも、正午の少し前からカウントダウンをしたようで、これが日本で初めてのカウントダウンなのだそうです。

また、女学生が標準時計を持ち、街で(浅草、上野、須田町、京橋、銀座)道ゆく人に、手持ちの時計の時刻を正確に合わせてもらうキャンペーンも行っていたとか。

また展示物で面白かったのが、先展の展示物の復刻版で、1秒の速さを換算する一覧表。運針や女学生の歩行、自転車、馬、燕などなど。1秒の尊さを意識してもらうためのいいアイデアです。

地球館の会場では、腕時計や掛け時計のより精度を高めた商品を陳列していました。展示品はセイコー、シチズン、リズム社の時計で、会社紹介や創始者の写真などもありました。

セイコーミュージアムでは時計から人々の社会性を見ましたが、本展はそれ以前の話。時間厳守の規範を庶民に植え付けた一大キャンペーンを振り返るものでした。

・・・・・・・・・・

新型コロナウィルス感染拡大防止のため、今年3月から軒並み美術館が休館になってしまいました。いくつも見逃してしまった美術展がありましたが、それはそれで仕方ない。

緊急事態宣言が解除され、順序立てて公共施設が再開していきましたが、一気に元通りになることはなく、どこも手探りでゆっくりスタートしています。国立科学博物館では完全予約制で、入場人数も密にならないように決められていました。人数が少なかったので、展示品をゆっくり見て、キャプションを読み、制作時に思いを馳せることができました。贅沢といえば贅沢ですが、これが本来の姿じゃないのかな? 全ての展覧会がこのように開催されることは無理でしょうが、今後、美術館がどのように鑑賞者を入れるべきなのか考えてくれると嬉しいです。私立の美術館ならまだしも、公立の美術館は特に。(私のような知識のない人間は見に来るなと言われそうですが…。)

私がここ数年に見た、異常に混雑していた公立の美術館の美術展。

 ・2018年 東京都美術館 『ムンク展』
 ・2017年 国立新美術館 『ミュシャ展』
 ・2016年 国立新美術館 『ルノワール展』
 ・2013年 上野の森美術館『ツタンカーメン展』 ← 史上最悪
 ・2013年 国立西洋美術館『ラファエロ展』

鑑賞日:2020年 7月20日
会 場:渋谷ヒカリエ8F CUBE1.2.3

篠原ともえ展
時に、奇抜なファッションに身を包み歌を歌うアイドルを気の毒に思うことがありますが、彼女のデビュー時にはそんな感覚はありませんでした。なぜなら、やらされているのではなく自ら進んで奇抜なファッションをしていたことと、その服が全て手作りだったから。『手作り』これ以上に説得力のあることはありません。彼女はファッションを自ら作り表現していたアーティストだったからです。

本展は近年に製作された作品6点とドローイングなどが展示されていました。

篠原ともえ展篠原ともえ展篠原ともえ展

落書きのようなデザイン画から生まれる洋服たち。風のように儚く、空気を纏っているような優しい洋服でした。あの服を着こなせる人や場所は限定されることでしょう。

篠原ともえ展篠原ともえ展

彼女が齢を重ねて奇抜なファッションからシックな服装へと移行していてもアートの世界からいなくならないのは、アートを作り出せるからに他なりません。

最終日だったのでご本人がいらしていました。お声がけをしたら、人懐っこい笑顔で答えてくださいました。

鑑賞日:2020年 8月17日
会 場:国立科学博物館 
    地球館2階

香りの魅力 本展は香りに特化した博物館3館と1つの大学の名前があがっていてたので『香りの美学展』のような感動と発見を期待していました。
 が。
期待が大きかっただけにがっかりの展覧会でした。

展示品は香水9点、香水広告4点、数点のお香と体験できる香りのサンプルが8種でした。博物館ではマスク着用を促しているので、香りを嗅ぐ際にマスクをはずしていいものか一瞬悩んでしまいました。パネル展示もされていましたが、そのパネルの半分は各博物館と大学の紹介で、同じものがリーフレットになっています。このリーフレットはカハクのサイトで pdf でダウンロードできます。正直言って、わざわざ見に行かなくてもカハクのウェブサイトで十分。新たな知識としての『香りの魅力』を発見できませんでした。
ミニ企画展はよくよく調べ、猛暑でコロナ禍の中、予約してまで行く価値があるのか吟味しないといけませんね。

取り上げられているのは大分香りの博物館、松栄堂 薫習館、磐田市香りの博物館、東京農業大学北海道オホーツクキャンパス学術情報センターです。

鑑賞日:2020年 9月 6日
会 場:ギャラクシティまるちたいけんドーム

相田みつをの宇宙観五十路になって星だとか宇宙だとかプラネタリウムに親しむようになったワタクシ。理解するには非常に難しい分野ではありますが、純粋に星や惑星はロマンティックで素敵です。この会場は、1月に『浅野温子よみ語り』を開催したギャラクシティまるちたいけんドーム、プラネタリウムです。ここで相田みつを美術館館長の相田一人さんの講演会がありました。

詩人としてあまりにも有名な相田みつをさんは書家でもあり、その印象的な詩と書は誰もが一度は目にしたことがあると思います。(最近では教科書にも使われているようです)

プラネタリウムのスクリーンに星空と相田みつをさんの詩が映し出され、その詩の意味を相田一人さんが解説をするという形で1時間ほど話を聞きました。面白いなぁと思ったのは、『自分の番 命のバトン』。先祖から命はつながっていて、現在は自分がバトンをもらっている状態だという詩です。ここで思い出すのはやはり『さよなら銀河鉄道999』 です。ハーロックは哲郎に親から子へ、子からその子へと意思がつながれる。それが永遠の命と私は信じている。と言います。相田みつをさんの言葉を借りると、これは未来へのバトンですね。

ギャラクシティまるちたいけんドームは足立区の公共施設です。前回の浅野温子さんのよみ語りも今回の相田一人さんの講演会も無料でした。足立区って以外と太っ腹?

鑑賞日:2020年 9月17日
会 場:笠間日動美術館

県を跨いだ移動は控えてだのGoToだのと、新型コロナウィルスに振り回されている私たち。美術館に東京から鑑賞に行ってもいいものかと電話で問い合せてしまいました。さかなクン展は巡回の予定はないとのことでしたので、コロナ禍ではありますが、見に行ってきました。笠間市、初潜入です。

  さかなクンのギョ苦楽展半券 さかなクンのギョ苦楽展フライヤー さかなクンのギョ苦楽展フライヤー

さかなクンのギョ苦楽展看板 さかなクンを初めて見たのはテレビ東京の『TVチャンピオン』という番組。まだ一般人で学生だったさかなクンは、同じく一般人の大人たちに混じり、魚の知識を競い合っていました。その知識も人柄も強烈で、翌年の同じ番組に再び現れた時には嬉しささえ感じました。学生服を着た魚に飛び切り詳しい可愛らしい男の子が、あれよあれよとスターになり、それどころか知識を買われて東京海洋大学の客員准教授になり感心するばかり。さらにはCMでサックスの演奏を披露したり、絵を描いたりとその才能には驚かされっぱなしです。

さかなクンのギョ苦楽展作品さかなクンが描く絵は図鑑であり絵日記であり哲学でありアートでした。さかなクンにはいろいろな目(視点)があって、それぞれのフィルターを通して個性的な作品を作りあげていました。

さかなクンのギョ苦楽展作品つるんとした肌やゴツゴツした肌など個性豊かな魚たち。時にはカラフルに、そしていきいきと描かれています。キャラクター風のものもあり非常に愛らしいのですが、可愛いさだけに焦点を合わせることなく、食べられる運命にあることも隠しません。さかなクンの人間の大きさをもうかがい知ることができます。

さかなクンのギョ苦楽展作品さかなクンのギョ苦楽展作品さかなクンのギョ苦楽展作品 さかなクンの作品には言葉が書き添えられているものも多く、そこには必ず感謝の言葉がありました。作為的とはとても思えず、心からの言葉なのだと思います。
白衣の展示も数点あり、それぞれにテレビ番組の番組名のロゴが描かれていました。気遣いの人です。

さかなクンのギョ苦楽展作品さかなクンのギョ苦楽展作品さかなクンのギョ苦楽展作品コロナに翻弄される世の中を憂い、アマビエを描いた作品も数点ありました。いじめについて語っている作品もあり、非常に繊細でお優しい人柄がよくわかりました。一緒に見に行った娘と二人でますますファンになってしまいました。さかなクン、ありがとう魚ざいます!

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2022年にさかなクンの映画『さかなのこ』がのんちゃん主演で公開されました。

鑑賞日:2020年 10月20日
会 場:DESIGN FESTA GALLERY

F 0 号展グループ展。出品者は17〜8名だったでしょうか。作風がまったく違う個性的な作品が狭い展示スペースに所狭しと並んでいました。すべての作品がF0号と作品が小さく、小回りがきく(!?)ようで、展示スペースが壁の上下にも分かれていました。当然のことながら下のスペースのアーティストの作品はかがんで見ることになり、とても見づらかったです。

とくながあゆこさんの猫は、もはや猫ではなく人間! 洗濯したり酒を飲んだり煙草まで燻らせます。
あおね琳さんはそのまま商品になりそうな作品。絵としてはもちろん、デザインとして生活雑貨に落とし込むのもアリな美しい作品群でした。(ネームカードは出品作品とはまたちょっと趣が違って、中心にキャラクターがいるイラストでした。)
田中ちひろさんは刺繍の作品。とても美しい刺繍を動的に展示していて面白かったです。

アーティストの方々はお若い方ばかりなのでしょうがそれぞれに世界観があります。すでにプロとして仕事を請け負っている方もいるようです。関係はありませんが文化服装学院で見た『ファッション画展』を思い出しました。志を共にしている人と切磋琢磨して芸術家になっていくんですね。

鑑賞日:2020年 10月20日
会 場:上野の森美術館

KING & QUEEN展本展の開催を知ったのは上野の街中。街灯に吊るされた垂れ幕にひと際目を引くエリザベス女王。ダイアナ妃初来日時の日の丸とユニオンジャックの掲揚を彷彿させ、町をあげての歓迎ぶりが見て取れました。

本展は肖像画を通して英国の歴史を振り返る歴史絵巻。贅沢な生活を謳歌した『ハプスブルク展』のような派手な調度品はなく、質素で高貴な王と女王の人間性に迫る絵画と写真の展示でした。

KING & QUEEN展半券入場前にチケットの美しさに感動!
絵画の美しさとデザイン性の高さ、必要な情報が入り込んでもなおバランスがいい。はっとするほど美しいチケットは『ダリ宝石展』以来かもしれません。

KING & QUEEN展フライヤー1485年、イングランドのチューダー朝から始まり、ステュアート朝、ハノーヴァー朝、ヴィクトリア女王の時代、そして現在のウィンザー朝まで順を追って紹介しています。それぞれに系図があり非常にわかりやすい。長年、ジョージ〇世、アン、メアリーなど、同じ名前が繰り返され頭の中が整理できなかったのですが、この系図で全貌が見えてきました。個別に見知った名前が線で結ばれる、点と点が線になっていき、無学な私は勉強させていただきました。

王家の存続はいつの時代のどこの国でも大きな問題で、継承のために争うこともあります。それが体制と反体制との争いであったり、女と女の争いであったりします。数々の争いを勝ち残った男たち、女たちがキャンバスに収められていました。威厳に満ちた肖像画から普段の生活を切り取ったようなリラックスしたものまで。はたまた絞首刑で首を落とされたまさにその瞬間の絵など、英国王室の歴史がぎゅっと詰まっていました。

近年になると肖像画よりも写真が多くなります。ヴィクトリア女王の息子、エドワード7世はお洒落な人だったそう。写真にはツイードのジャケットにタータンのキルト姿、傍にはアレクサンドラ王妃が写し出されています。(エリザベス2世の曾祖父母)

ジョージ5世とメアリー王妃の婚礼時の写真を見てその絢爛さに驚きました。(エリザベス2世の祖父母)衣装だけではなくその佇まいやその空気に「本物だ!」と思わせる有無を言わせぬ存在感がありました。映画のセットや衣装では絶対に表せられない大きな存在感です。

KING & QUEEN展大看板 KING & QUEEN展
馴染みがあるのはやはりウィンザー朝のエリザベス女王。若きエリザベス女王とフィリップ公の写真にはとっても可愛い女の子が写し出されていました。(フィリップ公もハンサム!)

エリザベス2世即位は1952年、翌1953年に戴冠式がありました。セシル・ビートンによる肖像写真には堂々とした姿が写し出されています。7年前にフィリップ殿下の横にいた可愛らしい女の子が、こんなにも自信に満ちた女王の顔になるのかと驚きます。凡人の私には知りえない教育と経験を積まれたのでしょう。そしてこの若く美しい女王に国中が沸いたことでしょう。スウィンギング ロンドンムーヴメントの少し前でしょうか。

私の世代ではダイアナ妃の生涯に興味を持つ方も多いでしょう。幸せの絶頂の美しいプリンセス。しかし、夫の裏切りと離婚、不慮の交通事故死。楽しい時代もあったでしょうが、若くして亡くなった悲劇のプリンセスでした。ダイアナ妃はチャールズと別れてからがより一層美しかったと思います。肖像写真からはプリンセス時代の美しい姿が並びますが、私は自分が所有している離婚後に撮影されたファッション雑誌のグラビアの方が好きです。

KING & QUEEN展おまけ近年の肖像は写真が多く私も知るフォトグラファーの作品が並びます。今回非常に驚いた(勉強になった)のはスノードン卿はマーガレット女王の夫だったこと! 写真撮影が縁で結婚したのだそうです。知らんかった〜。王族の遠縁かと思っていました。じゃあ、パトリック・リックフィールドは?

ダイアナ妃はデヴィッド・ベイリー、ウィリアム王子はマリオ・テスティーノなど有名なフォトグラファーによる映画スターのように美しい写真もあれば、アンディ・ウォホールによるシルクスクリーンのエリザベス女王があったり、近年の肖像はアーティスティックでもあります。アニー・レーボヴィッツが2007年に撮影したエリザベス女王の写真には、1953年にセシル・ビートンが撮影した時と変わらない堂々たる美しさがありました。

本展は英国の歴史に触れられたし、近年のフォトグラファーの作品にも触れられ、勉強になったし面白い展示でした。

図録を買ったら先着プレゼントとかで缶バッチをいただきました。アフタヌーン・ティとのコラボ企画をしているようです。

鑑賞日:2020年11月 7日
会 場:帆船みらいへ

帆船みらいへラタスクラブ友人の招待でサルベージ・キッチンに参加してきました。

みなとみらい、ぷかり桟橋発着で横浜港をクルージングしながら廃棄処分になる食材を集めて作った料理をいただき、フードロスや環境について考えるイベントです。啓蒙活動ですが全く堅苦しくない、楽しく気持ち良い食事会でした。

主催はラタスクラブ、ロイヤル・ミュー(株)、そしてシェフは南極料理人で、あの”悪魔のおにぎり”の考案者、渡貫淳子さん。帆船みらいへ

夕方4時、帆船みらいへに乗船。雨がぱらつくも、主催者のご挨拶を聞くうちに上がり、幸先の良いスタート。用意されたお料理が船上のテーブルにブッフェスタイルで綺麗に並べられ、その豪華さに驚くばかり。せっかくだからと全ての料理をいただきました。

サルベージ・キッチンの料理たくさんの料理に舌鼓。美味しくいただきながら、これらの食材が廃棄処分になる運命だったとはにわかに信じ難く、フードロスの深刻さを見せつけられました。

主婦であるワタクシ、食品を無駄なく使っているかと聞かれたら、「もちろんです!」と潔い返事が出来ないかもしれない…。外食時に残してしまうことも少なくない。地球規模の大きなことは考えられないけど、せめて家族単位で食品の無駄を減らすように考えていこうと思いました。

右画像の他、デザートも数種類ありましたが写真を撮るのを忘れてしまいました。チョコレートのボール、栗やさつまいものデザート、きな粉のロールケーキ、なかでも甘酒のブランマンジェはとっても美味しかった!

帆船みらいへ帆船みらいへ主催者の締めの挨拶で海の環境についても話がありました。

マイクロプラスティックが問題になっているということは30年以上前から知っていましたが、以前よりも深刻な状態になっていると感じました。(当時、私は河川の水質分析をしていたので河の行き着く先の海のことも多少の知識はありました。)これからはもっと意識を強く持たなければいけません。

フードサルベージだけでなく海の環境保全についても考えさせられる1日でした。

鑑賞日:2020年11月15日
会 場:明治神宮ミュージアム

明治神宮の鎮座明治神宮の鎮座明治神宮の鎮座

明治神宮の鎮座明治神宮参道脇にひっそりと潜むミュージアムにふらりと立ち寄ってきました。明治神宮は今年創建百年だそうで、宝物展示や創建に尽くした人々の働きを紹介していました。

明治天皇を御祭神とする明治神宮は百年前に代々木に創建されました。天皇崩御の後、御陵は京都に作られましたが、東京に天皇をお祀りする神社を作ろうと、男爵渋沢栄一、東京市長阪谷芳郎、東京商業会議所会頭中野武営が呼びかけ、創建の声が日本全国に広まったそう。国民の声が高まってできた神社なのです。(明治神宮造営局総裁は伏見宮貞愛親王殿下)

場所の候補はいくつかあって、青山練兵場跡地(外苑)、陸軍士官学校・中央幼年学校(自衛隊市ヶ谷駐屯地)、上野公園、目白台(椿山荘付近)、皇居本丸、井の頭御料地(井の頭公園)などなど15箇所。その中で代々木に決定したわけは、明治天皇がご体調の優れない昭憲皇太后が散策できるよう作られた庭園があったため、鎮座地となったそうです。明治天皇が設計された庭園は現在境内の一角にある御苑です。(数年前、清正井を携帯の待ち受けにすると運気が上がるという大ブームがありましたよね)

神宮の杜は人工で作られたものですが、その樹木の提供が全国からあったそうです。神宮の杜は林学博士、本多静六が百年先を見通し、松や檜などを植えていきます。数年後に杉や檜が松を超えて成長するといった予想図も、展示品の林苑計画の中に残されていました。

ミュージアム2階には明治天皇、昭憲皇太后のゆかりの品が展示されていました。

昭憲皇太后の大礼服は刺繍が美しいのですが経年の劣化が激しく、研究修復復元プロジェクトが立ち上がっていました。鳳凰を頂く馬車は非常に美しかった。1999年に見た『御即位十年記念特別展』よりも豪華でした。その他の宝物は文房具などの日用品。もちろん装飾は素晴らしいのですが、意外に質素な生活をされていた印象を持ちました。

明治神宮の鎮座 明治神宮ミュージアムは昨年オープンしました。飛ぶ鳥を落とす勢いの建築家、隈研吾氏によるデザインです。

明治神宮の鎮座ゆったりとして静寂を感じるミュージアム。神宮の杜が借景になり、実に美しい。館内は写真撮影不可だったので、入口脇にあった可愛らしいひょうたんをパチリ。ひょうたんに気を取られミュージアムの全景を撮るのを忘れてしまいました。

ミュージアム鑑賞後はフォレストテラスで軽食をとりました。心癒される神宮の杜。七五三の綺麗な着物を着ているのに、はしゃぐ子供達。コーヒーを飲みながら穏やかな心で眺める美しい緑。百年前に尽力した本多静六のおかげですね。(フォレストテラスの家具には境内の倒木などが使われているそうです。木の種類も書かれているそうです)

フォレストテラスで非売品のお茶をいただきました。伊藤園の「明治神宮鎮座百年祭 明治浪漫茶」です。

鑑賞日:2020年12月14日
会 場:サンシャインシティ 文化会館ビル

東京ミネラルショー現在の職場、私とは別の部署がこちらの招待券をいただき、私も連れて行ってもらいました。東京ミネラルショーは鉱物や化石などを取り扱う業者が一同に集まり、展示、販売、情報交換する一大イベントです。

鉱物の人気は高く、毎年大変な賑わいだそうですが、今年は新型コロナウィルスにより出展者もお客もだいぶ少ないとのことでした。

仕事で来場した同僚について回るだけでなく、私も密かにテーマがありました。それは
「無色透明のベリルってあるの?」
答えはもちろんイエス。完全なる無色透明は見つけられませんでしたが、限りなく透明に近いベリルが沢山ありました。ベリルはクロムが混ざればエメラルド、鉄が混ざればアクアマリン。宝石と言えるほど色が濃く出てないものは値段が安かったのでちょっぴり購入してきました。

宝石としてのエメラルドが美しいのは誰もが知るところですが、鉱物としてのエメラルド、石の間を縫うように突出するグリーンの六角柱がドラマチックでした。(グリーンが美しく発色しているものは小さくてもとても高価。欲しいけど買えなかったな。またチャンスがあるかな?)