鑑賞日:2013年 1月13日 |
会 場:上野の森美術館 |
これは長年の美術鑑賞の中でワースト1の混雑でした。こんなひどい美術展は過去にありません。入場者数の更新にやっきになっていると思うのは穿った見方でしょうか? 《大盛況》で主催者は嬉しかった?
関西から始まったこの展覧会。入場者数がえらいことになっているとテレビで放送されていました。東京でも開催中にフジテレビが芸能人を使って煽るように宣伝したこともあってか、完全入場規制で整理券を配布するほどの人気ぶり。そんな展覧会、入ったところで鑑賞も難しいだろうし、平日と土日祭日の入場料金が違う(テーマパークなみの料金!)ことも理解出来ず、全く行く気無しでした。が、子どもが観たいというので覚悟を決めて行ってきました。
当日券は開場前に入手できました。入場口前で配布していた整理券をもらうと、入場時間が1時間後の刻印。でも30分ほどの時間差で、整理券での入場時間が2時間待ち、3時間待ちとなっていたのでラッキーだと自分に言い聞かせました。(これ、開場前の話です)
上野公園内のスターバックスコーヒーで時間をつぶし、指定された時間に美術館へ。
ようやく入れた美術館ですが、館内、とくに前半は過去に体験したことがないくらい最悪でした。通勤ラッシュの車内のように身動きができない。手を上げたら下ろせない。自分の子どもをかばうのに必死でした。牛歩もいいとこ、ほとんど進まず。そこになぜか「立ち止まらないで歩いてください!」と何度も何度も叫ぶスタッフの声。とにかく大声でうるさい。「歩きたくても歩けねーよ!」とみんな不平不満の声が続出。殺気立つ会場。その場にいたスタッフはどう思っていたでしょうね。中盤あたりから歩けるようになり、後半からはなんとか人と人の間から鑑賞することができました。
館内は最悪でしたが展示物はすばらしかったです。すべて絢爛豪華で、当時のファラオの力が見てとれるものばかりでした。文化で他を圧倒するってこういうことなのかもしれません。色も形も美しい装飾品の中に、ポップなデザインの瓶や椅子があり、許容範囲の広さに驚かされました。娘は当時すでにゲームがあったことに驚いていました。私はスカラベがふんころがしだと知って衝撃を受けました。(カブトムシかと思っていたので)もっと、ゆっくり、じっくり、観たかったな。現地に行かなきゃ無理ってことですかね?
鑑賞日:2013年 2月24日 |
会 場:国立科学博物館 |
子供の頃から大好きなチョコレート。本展を楽しみにしていました。『元素のふしぎ展』を鑑賞した時に本展の前売り券を見て、即購入。チケットもフライヤーもとっても可愛いのです!
本展は農作物のカカオから、商品としてのチョコレートが出来るまでをわかりやすく展示していました。過去にチョコレートの本など数冊愛読し、流れはわかっているのですが、実際にカカオが数種類も展示されていたりするとよりリアルに理解できます。
カカオには貨幣と同じように扱われていた時代もあり、とても貴重なものでした。貨幣なのに、そしてとても苦いのに、「カカオを飲む」という発想が出てきたのがとっても不思議です。「飲む」から「食べる」への変化はトントン拍子。試行錯誤を重ねてくださった先人には感謝感謝です。
カカオは赤道付近の高温多湿の土地でしか収穫できず、また産地により品種が異なります。カカオがチョコレート工場へ納入されるまでの流れは
1、収穫 2、発酵 3、乾燥 4、出荷
カカオがチョコレート工場に入ると…
A
1、精選(カカオと異物をより分ける)
2、風選(風で実と皮を分ける)
3、焙炒(炒って水分を減らす)
4、磨砕(実をすりつぶしてドロドロに) → カカオマス完成
B
1、圧搾(絞って油を取り出す)
2、粉砕・冷却(圧搾されたココアケーキを粉砕) → ココアパウダー完成
C
1、混合(砂糖・粉乳などを均一に混ぜる)
2、微粒化(ざらついた生地を滑らかにする)
3、精錬(じっくりと練る→余分な成分や水分が蒸発、メイラード反応で油分に香りが溶け込む、ココアバターで混合した材料を一体化)
4、調温(温度調節し、安定した結晶にする)
5、充填
6、冷却
7、型抜き
8、検査/包装
9、熟成
チョコレートがショコラティエの手によって食品でありながら芸術品として確立していったことにも感謝感謝。彼らのおかげで、ワタクシこ〜んなおばさんになっても魅了され続けています。チョコレートには麻薬のようにあとを引くお誘いが非常に強いです。(麻薬を使ったことはありませんが。)
私が子供の頃は板チョコや駄菓子のチョコしかありませんでした。大人になって、日本に初めてチョコレート専門ショップ、和光ルショワができた時の衝撃は忘れられません。(日本のショコラティエの先駆け、川口行彦さんは2003年に和光ルショワから独立してオリジンーヌカカオを立ち上げますが、2020年1月末日に閉店してしまいました)
ゴディバやノイハウスなどの高級チョコレートの登場や、日本でもサロン・ド・ショコラが開催されたり、チョコレート市場は大きくなる一方ですね。
左はフライヤー、右上は半券で右下は割引券です。チョコレートを上手く表現されていてステキですね♥
鑑賞日:2013年 4月 3日 |
会 場:日本橋高島屋8階ホール |
映画『ドラゴンボールZ 神と神』を観賞後、家族みんなで行ってきました。
『ドラゴンボール』と鳥山明の世界が広がる、力強くもほんわかした展覧会でした。
エントランスはドラゴンボールのキャラクターが総出でお出迎え。50音順に並んだキャラクター達。じっくり見ていくと…、あら! アラレちゃんだ! 『Dr. スランプ』ファミリーも登場で、賑々しくかわいらしかったです。確か、共演(!)もありましたよね。鳥山ワールドに垣根はないのかもしれませんね。
鳥山さんの絵は、まんがの小さな1コマにも奥行きがあり、しっかり世界観が表現されています。1コマ1コマがイラストレーションのように完成されていてとても魅力的です。
会場終盤に孫悟空の声優野沢雅子さんのコレクションコーナーがありました。たくさんのドラゴンボールグッズをコレクションしていました! 自分が演じたキャラクターは分身のように思うのでしょうか?
その先に野沢さんと鳥山さんの対談の様子が上映されていました。鳥山さんはお顔を出すことはありませんでしたが、野沢さんとの会話で、そのお人柄を垣間見たような気がします。
鑑賞日:2013年5月26日 |
会 場:国立西洋美術館 |
日曜日の午前中だったし、覚悟はしていたけど、やはりすごい人でした。行列の最後尾につくと、入場までに50分というアナウンス。パートナーに忌野清志郎を持って行ったけど、村上春樹のほうがよかったかもと思いながら待ち続けました。
キヨシローに励まされながら待つこと40分。当然のことながら場内もすごい人! 人の頭を見に行った様でした。国立の美術館がこれだけ人を入れるんだから、これが標準だと思わなくちゃいけないってことなんだな。きっと。でもやだな。
作品は思っていたよりも多く、バラエティにも富んで、とてもよかったです。
作品展で時々思うことがある。作家は常に、どの作品にも等しく同じエネルギーで描き上げるんだろうかと。テクニックではなく、魂というか、情熱というか、作品への想いをどれだけ込めているんだろうかって思う。どれも素晴らしく、美しいんだけど、抜きん出て目を引く素晴らしいものがあるのはなぜなんだろうと思う。今回のフライヤーとチケットにプリントされてる『大公の聖母』は大変美しい作品でした。
グッズ売り場も大変な人だかり。商品の陳列台にたどり着かない。せめて図録を買おうとするも売り切れ。予約をして支払いをすませれば、後日郵送してくれるというので申し込みました。キヨシローの個展の時もそんなことがあったな。(キヨシローの写真立ては品切れで、購入後に後日郵送で届きました)
ちなみに、1987年にも『ヴァティカン宮 ラファエロの壁画』を観ています。こちらは写真展でした。
鑑賞日:2013年 6月17日 |
会 場:日本橋高島屋 |
あまり興味のないユトリロ展でしたが、招待状をいただいたので見に行ってきました。作品数が多く、かなり見応えがありました。
建築物を描いた作品群。とてもきれいなのですが、色使いのせいか、なぜか冬の景色のようで寒々しい。色使いが明るくなっても、なぜか寂しさが残ります。人が描かれている作品でも、人物が重視されている様子はなく、絵の中の添え物のようでした。
私好みの作品はないなあと思っていたら・・・、やはりキラリと光る作品はあるんですよね。
雪景色の作品は素晴らしかった! とくに「雪のラヴィニャン通り」はとても美しかったです。雪がキラキラと反射しているようでした。ただ、図録には雪の美しい輝きは再現されていません。安価な図録に高度な印刷技術を要求してはいけませんよね。
作品を通して、この人はとっても素直な人だったのではないかと感じます。
鑑賞日:2013年 6月22日 |
会 場:世田谷美術館 |
私が大好きなデパート、日本橋高島屋。本展は高島屋所有の絵画を紹介した展覧会です。夫とのんびり散歩がてら行ってきました。
1枚で4種の展覧会の招待券になっているものをいただき、興味のあった本展を見に行ってきました。
創業以来、染織品を主力にしていた高島屋と画家との関わりは深く、高島屋にはたくさんの日本画が残されています。展示されている日本画はとにかく美しいの一言です。自然の美しさ、女性の美しさ、美術の知識のない私が見ても圧倒されるほどに美しかったです。
高島屋に限らず、三越も美術家との関わりが深かったようです。こうなると、松坂屋、松屋の歴史も知りたいと思うし、和光の成り立ちなども知りたいと思います。どこかでデパートの歴史の展覧会をやってくれないかな〜。
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世田谷美術館に併設されているセタビカフェで期間限定のワンプレートランチを食べました。
運ばれてきてびっくり! パンに旗が刺さってる! 斬新!
世田谷美術館の『世』と高島屋の『高』が描かれたノスタルジーあふれる旗です。粋なお子様ランチですね。
日本橋高島屋は昭和8年、1933年に竣工。設計はコンペだったらしく、片岡安、高橋貞太郎、前田健二郎の3人の名があります。(高橋貞太郎は学士会館も設計しています)イタリア産の大理石が美しい。重要文化財です。
ちなみに日本橋三越は1914年に横河工務所により建設されました。こちらも重要文化財です。
鑑賞日:2013年 6月29日 |
会 場:森アーツセンターギャラリー |
映画で使われた衣装や小道具を展示した展覧会。テレビなどでも数多く取り上げられ、話題の展覧会、ハリーの魔力にかかった人たちで会場はいっぱいでした。
まるでテーマパークのアトラクションのような楽しいイベントで始まるこの展覧会。ホグワーツエキスプレスの展示にワクワク感が高まります。ハリーと同じように、ホグワーツエキスプレスが魔法の世界へと誘います。
展示品は映画で実際に使われたもの。ファンなら、これはあのシーンで使われたものだ! とわかった人も多かったでしょう。ハリーポッターを細かく知っている人ほど楽しかったはずです。
衣装は中世の貴族の服のように重厚感のあるもので、細部にまでこだわった凝った作りでした。小道具も重厚感があり、魔法使いの非現実的な世界が表現されていました。小物の一つひとつを見ていると、登場人物がいないだけで、魔法がひっそりと存在しているんじゃないかと錯覚しそうな空間でした。J・K・ローリングの原作が素晴らしいこともさることながら、映画が作り出したハリーポッターの世界観も素晴らしく、世界的な大ヒットに至ったのですね。
そうそう、ハリーの部屋を再現したコーナーの壁に、タピスリーがかかっていました。よく見ると貴婦人と一角獣の姿が! 森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ)のすぐ近く、国立新美術館で開催されている『貴婦人と一角獣』のタピスリーを模したものなのかな? 本物も見に行ってみようかな。
鑑賞日:2013年 7月 1日 |
会 場:国立新美術館 |
『ハリーポッター展』を観てから、本展覧会が気になり、思いつくままに鑑賞に出掛けました。500年も前に作られたタピスリーは、とても優しく美しいものでした。
1500年頃にル・ヴィスト家のために制作されたとされるタピスリー。保存状況が素晴らしくいいです。
天井が高く広い会場に大きな6枚のタピスリーがありました。大きな大きなタピスリーが6枚も並んでいるにもかかわらず、全く圧迫感がない。赤をベースに作られているのに威圧感がない。それどころか優しい雰囲気まであります。
タピスリーそれぞれにテーマがあり『触覚』『味覚』『嗅覚』『聴覚』『視覚』、そして最後に『我が唯一の望み』というタイトル。五感プラス第六感的に未来を表したものということでしょうか。穏やかな貴婦人の顔、動物たち、まわりを囲む愛らしい花々。バックの赤を考えても、これは愛を表現したのでしょうね。
下絵の画家が素晴らしいのでしょう。隙間なく花がいっぱい飾られているのに詰め込んだ窮屈さがありません。織物職人の技術も素晴らしい。陰影が美しく、貴婦人が身に付けているアクセサリーが立体に見え、タピスリーからコロコロと転がり落ちるのではないかと思えるほどでした。
タピスリーが大きいので上方が良く見えないのですが、そこはさすがに展示に工夫がなされ、別室で細かくプロジェクターで映し出したり、動物をパネルで比較したりしていました。それを見て、またタピスリーを見直すこともでき、ゆっくり鑑賞が出来ました。展示品の美しさだけでなく、展示の仕方に工夫が見られ、とっても良い展覧会でした。
フライヤーは2種類持っています。右のフライヤーには、大阪での展覧会場である国立国際美術館が併記されています。
鑑賞日:2013年 7月31日 |
会 場:たばこと塩の博物館 |
一度行ってみたいと思っていた渋谷区にある たばこと塩の博物館。
来月墨田区に移転するそうで、渋谷は9月2日に閉館されるそうです。
本展は渋谷でのラストを飾る集大成といったもので、たばこと塩の他に博物館自体の歴史を振り返るものでもありました。
館内はたばこの歴史やシガレットケースなどの装飾品、パッケージデザインの変遷などが見られ、とても興味深いです。塩の割合よりもたばこ関連の展示物の方が多く、展示に工夫もされていました。
私はたばこを吸わないので、たばこの嗜好性については正直よくわかりません。ですが、たばこ盆などの装飾品や嗅ぎたばこという文化を見ていると、特権階級の楽しみだったり、おしゃれの最先端だったり、たばこに付随するファッション性はよくわかりました。
それは国内だけでなく海外も同じ。海外のシガレットケースやパイプなどの装飾も、ファッション性を重視したものが多くありました。
昭和の風景を彷彿させるフロアがあり、子どもの頃に父の煙草を買いに行った記憶がよみがえりました。たばこは私のはじめてのおつかいのアイテムでした。未成年は購入できない今となっては、その情景さえも過去のものです。
浅田次郎の小説『天切り松闇がたり』に登場する女スリ師、おこん姐さんが愛飲していた敷島の展示もありました。
たばこの展示物に比べるとちょっとさみしい塩のフロア。専売公社つながりなんでしょうが、ボリューム、力の入れように差が出ちゃってますね。
写真は塩の結晶の分子モデル。この他、塩田の様子などが展示されていました。
9月1日まで開館していますので、興味のある方は足を運んでみてください。