鑑賞日:2024年 1月24日 |
会 場:国立西洋美術館 |
1988年に伊勢丹美術館で『ブラック展』を見てブラックに一目惚れした私。久しぶりにブラックを見られると、楽しみに行ってきました。
ですが…
ブラックとピカソの作品は思ったほど多くなく”芸術、キュビスム”を総括する展覧会でした。
ブラックとピカソから始まった新しい芸術の表現、キュビスム。二人の後にたくさんの画家たちが作品を残していきます。しかし私にとってのキュビスムはブラックとピカソの作品が始まりであり且つ終わり。その後の画家の作品には興味が湧きませんでした。
右のピカソの作品『肘掛け椅子に座る女性』を見た瞬間「モデルの女性は美人だな」と思いました。キュビスムで美しい女性を表現するピカソ。素晴らしいです。
ブラックの静物画『果物皿とトランプ』は非常に印象に残りました。”トランプ”というキャッチーなアイテムが入っているからかな?(関係ありませんが小林かいちにもトランプを題材にした素敵な作品が多くありますね)
鑑賞日:2024年 3月28日 |
会 場:松屋銀座 |
アメリカの教育番組『セサミストリート』。明るく楽しいそのエンターテインメントのベースには幼児・児童への優れた教育の理念がありました。
子供達が豊かで幸せになるように考えられた番組には親しみやすく可愛らしいキャラクターと素敵な音楽がありました。
メインテーマの『Sunny Days』は明るく元気になれる曲。『Sing』はカーペンターズの曲だと思っていたら、こちらの番組で使われた曲でした。
多様性の時代と言われて久しい現在、それに倣うようにキャラクターたちも増えていきました。金子みすゞの詩に書かれた一文「みんなちがって、みんないい」が当てはまる優しい世界が「セサミストリート」なのだと思います。
アメリカという多人種から構成される多民族国家で『セサミストリート」は必要な番組だったのでしょう。そしてその理念はアメリカを超え世界標準になっているのだと思います。
ちなみに私のお気に入りのキャラクターはガイ・スマイリーです。知ってる人あんまりいないけど、本展のキャラクター紹介にはいました!
鑑賞日:2024年 5月 4日 |
会 場:明治神宮ミュージアム |
平成30年から始まった昭憲皇太后の大礼服修復プロジェクト、令和5年に修復を終え本年公開です。
国内外から修復・復元のために技術者が集結しました。いつ頃どこで作られたか詳細が残されていない大礼服を現代の技術者がその技術で以て修復していきます。厳しい仕事であったろうことが想像されます。
おそらく国内で作られたのではないかと思われる大礼服。日本の輸出産業の一翼を担った絹で施された刺繍が上品かつ華やかで美しい。この大礼服をお召しになった昭憲皇太后を、当時どれだけの日本人が拝謁できたのでしょう。美しさに圧倒されたに違いなく、諸外国と肩を並べる未来の日本を見たに違いありません。
他にもドレスが展示されていましたが、昭憲皇太后は小柄な方だったようです。さぞかし重いお召し物だったと思います。ドレスの重さもさることながら、大きな日本を背負っていた昭憲皇太后。明治維新後の日本を作った政治家や実業家の名前は誰もが知るところでありますが、その中におられた唯一の女性、昭憲皇太后を忘れてはならないと思います。
鑑賞日:2024年 8月22日 |
会 場:ラフォーレミュージアム原宿 |
本展は
『おジャ魔女どれみ』
『おジャ魔女どれみ #(シャープ)』
『も〜っと おジャ魔女どれみ』
『おジャ魔女どれみ どっかーん』
の物語を振り返る展覧会。オープニングのウキウキする曲と映像で来場者を迎え入れてくれました。
会場は原画よりもパネル展示の方が圧倒的に多くアート展とはいいがたいものでしたが、どれみちゃんの学校の教室が再現されていたり、ほうきにのれるフォトスポットや名言集など、どれみちゃんの世界観が存分に表現されていました。
鑑賞者は当時アニメを見ていたであろう”大人になった女の子たち”たちが圧倒的に多かったのですが、私のような親世代の方がいたりして、どれみちゃんの扱う普遍的なテーマが世代を超えてファンを作っているのだと感じました。
子供たちが幼い頃に一緒に見たアニメは沢山あるけれど,忘れられない作品はこれ、どれみちゃん。
失敗をしてもみんなで模索しながら解決し、クラスメイトや大人たちをも含めたみんなが仲良く生活する。
そのいじらしい姿がたまらなく愛おしい。どれみちゃんの笑顔や悪戯っぽい怪しい顔、そしてその声、いつまでも記憶に残る。
テレビ放送だけでなく20周年に上映された映画『魔女見習いをさがして』も素敵だったどれみちゃん。
ずっと楽しませてくれてありがとう。
鑑賞日:2024年 9月15日 |
会 場:東京ステーションギャラリー |
1982年、日本橋高島屋で開催された『世界のポスター10人展』で初めてフォロンを知り、1986年、船橋西武美術館での『フォロン展』では残念な鑑賞しかできなかった私。本展をとても嬉しく鑑賞しました。
本展は絵画の他、彫刻やアニメーションなども紹介されていました。相変わらず柔らかで優しいフォロンの絵。色の温かみや紙質までも味方にし、フォロンの世界が出来上がっています。私はフォロンをグラフィックデザイナーだと思っていましたが、デザイナーであり、尚且つ自らの人生を作品に落とし込む画家でもありました。
フォロンは1934年ベルギーに生まれます。戦争への皮肉を表した作品や環境破壊への怒りを表した作品なども多く見られました。
フォロンによくある矢印のモチーフ。1本なら頼もしい道標ですが複数の矢印では混乱を招くだけ。先に進めなくなってしまいます。これは共感する方も多いでしょう。
アニメーションはフランスのテレビ局で流されていたものだそう。空を飛ぶ人たちのおおらかで柔らかな姿に宮崎駿さんのイメージがよぎりました。
アメリカでデザイナーとして活躍していた頃はミルトン・グレーサーと親交があったようです。
シミュラクラ現象にも見える生活の中にある”顔”に微笑んだり、アップル社のために描かれたと思われる(スティーブ・ジョブズのため?)『MacMan』やレインボーのリンゴにニヤリとしたり、船橋西武美術館での『フォロン展』でフライヤーとなっていた作品『リリー、わたしを愛して』と再会し感動したり、とても楽しい時間でした。
鑑賞日:2024年11月12日 |
会 場:代官山ヒルサイドフォーラム |
操上和美さんの写真展へ行ってきました。写真集(KURIGAMI 88)発売記念の展覧会で掲載作品の一部が展示されていました。今年米寿になる繰上さんの渾身の作品がメッセージと共に並んでいました。
北野武さんからスタートする作品群はどれもみな非常にスリリングな印象。現場には笑いなどないだろう緊迫した空気が写っていました。
完全に私のイメージではありますが、ありのままを写す篠山紀信、息を吐いた姿を映す鋤田正義、一瞬の美を捕える下村一善、そして被写体の性質を引き出しクリエイトする操上和美。プロラボで働いていた経験のある私のフォトグラファーのイメージは昭和のそれで、まさしく操上和美なのです。
著名人がならぶポートレートも有名人図鑑にならないのは、操上氏がアーティストだから。素晴らしいと思います。
鑑賞日:2024年11月13日 |
会 場:貨幣博物館 |
日本銀行の向かいにある貨幣博物館。決して広くない展示スペースにお金に纏わる情報がぎっしりと詰まっていました。
無料で入館できますが、入り口で名前の記名と手荷物検査があります。そこを通過したら階段を上がりお金の世界へ。
社会生活を送る上でなくてはならないお金。歴史を遡り、どのような材料でどんなふうに作られどう使われてきたか、非常に詳しく解説されていました。ここは是非、私が語るよりも実際に目にしていただきたい。勉強になります。
特別展は『江戸の商人』、販促グッズにうちわなど、今も変わらない品や戦略がありました。戦略といったら、にんべん。鰹節のにんべんですが、今でいう商品券のような”商品と引き換えられる板”を発行していました。商才あります。
人が複数いれば経済は自然と作られていきます。それは飛鳥時代でも現代でも。