家族ゲーム
受験を控える沼田家の次男、茂之(宮川一朗太)は家庭教師を付けるも成績不振だった。新しい家庭教師 吉本(松田優作)は勉強のほか、いじめられてる茂之に喧嘩の仕方なども教える。
鑑賞日:2024年12月14日 |
映画館:新文芸座 |
1983年公開、森田芳光監督の『家族ゲーム』初見でした。
心の居場所がバラバラな家族が一つ屋根の下で暮らしていました。それは映画の中だけではなく、どこかの家庭にもあるかもしれません。
撮影当時は家庭内暴力が社会問題となり、偏差値教育の閉塞感、バブル経済前夜の小さな贅沢があった時代でした。
家庭内の小さな不和は沼田家だけではないかもしれません。茂之をいじめていた土屋くんの所作から、お金持ちの土屋くんの家庭も似た様なものだったのかもしれません。
どんな世界観を持っているのかわからない、破天荒でちょっと不気味な家庭教師が、実は一番まともだったのかもしれません。(吉本は大学七年生で社会からはみ出し気味の男です)職員室に乗り込んでも乱闘にならなかったのは彼の立ち位置を彼自身がよくわかっているからでしょう。最後の祝勝パーティーで伊丹十三の言葉にキレてしまうのも、常識的な人だったからでしょう。
阿木陽子が情婦の様な描かれ方でなんだか気の毒に感じました。何とも勿体無い起用ではないかと。あれは吉本の人となりを表すシーンだったのかな?
トイレットペーパーを持った戸川純にクスッとしたり、映画で初めて松金よねこさんを見たり、目玉焼きを吸う伊丹十三にエロさを感じたり、清水健太郎ってどこにいたの?と思ったり、小さなシーンも楽しい作品でした。
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上映後、宮川一朗太さん、映画プロデューサーの三沢和子さん(森田芳光さんの奥様)、宇多丸さんのトークショーがありました。宮川さんの止まらない撮影秘話に笑ったり発見があったり。宇多丸さんの澱みない司会進行で今回も楽しみました。
松田優作さんは当時、アクション以外の作品もやりたかった様で、映画プロデューサーの黒澤満さんが本作を紹介したようです。(当時私はアクション以外の作品に松田優作が出演することが嫌でした。歌を歌い始めた時にはがっかりしたことを覚えています。)主役が松田優作だったから父親役に伊丹十三、母役に由紀さおりをオファー出来たそうです。
隣のスタジオで萩原健一さんが『もどり川』の撮影をしていたらしく、優作が挨拶にいったとか。その後の演技で「ショーケンぽくなってる」と森田監督に指摘されたそう。松田優作はショーケンのファンだったそうです。ショーケンのファンだったなんて知らなかった! 『太陽にほえろ!』でマカロニ刑事の後釜のジーパン刑事はすごいプレッシャーだったのかもしれませんね。
神様はバリにいる
負債を抱え込んだ照川祥子(尾野真千子)は自殺をしようとバリ島の崖の上に立っていた。そこでリュウ(玉木宏)に呼び止められ、アニキ(堤真一)と出会う。派手な服装で関西弁を話すアニキを警戒しながらも、金持ちになる秘訣を教えてもらうために、テルはバリのアニキの元に留まる。
鑑賞日:2015年 2月17日 |
映画館: ー |
ベタなコメディで、なおかつ自己啓発色の強い映画。人の幸せを考えること、苦しい時こそ笑うことなど、より良く生きるヒントがちりばめられたものでした。
主役のアニキは前向きで明るく、ボランティア精神も持ち合わせた大きな人物。実話なのでモデルになった方が存在します。
アニキのようなタイプの人たちがみんなお金持ちになるかはわかりませんが、多くの人から信頼のされる人生を歩むでしょうね。
ロケ地のバリ島は花や民族衣装、海や空など、色がとってもきれいでした。現地の子供達の元気の良さが演技なのか素の状態なのかわかりませんが、生きるエネルギーを感じます。パワフルです。
画像はパンフレットの表紙です。眉がない(ドーランで塗りつぶした?)堤真一さんの顔、強烈ですね。ちょっとしか出てこない玉木宏さんの恋人役の菜々緒さんのスタイルの良さにも目が釘付けになりました。
キタキツネ物語
キタキツネの家族を追ったドキュメンタリー映画。
鑑賞日:1983年 7月26日 |
映画館:新宿ロマン |
名画座ではなくロードショーですが『ユニコ魔法の島へ』との2本立てでした。
【当時の鑑賞日記】
実は…。
40分ほど寝てしまったのです…。あんまりおもしろくなかったので…。
当時テレビドラマ『北の国から』の影響で、キタキツネが注目されていました。しかし、当時の私にはあまり響かなかったようです。
音楽はゴダイゴが担当していました。
清須会議
織田信長亡き後、清須城にて跡目相続と御領地の分配を柴田勝家 (役所広司)、羽柴秀吉 (大泉洋)、丹羽長秀 (小日向文世)、池田恒興(佐藤浩市)が話し合う。
鑑賞日:2014年 1月 8日 |
映画館:日比谷シャンテ |
三谷幸喜監督の映画第6作目。早々に前売り券を購入していたにもかかわらず、忙しさに撲殺され、年明けの鑑賞になってしまいました。前年の11月の公開だったことを考えると、ロングランヒットで、たくさんの方々に支持されていることがわかります。
この作品は史実を三谷流に脚色したもの。いつものドタバタ喜劇とはちょっと違うドタバタが展開されます。私が一番好きな三谷作『ラヂオの時間』と通じるものがあり、自分が優位に立つための駆け引きに「人間って本質的に何も変わってないな」と思いました。
『素敵な金縛り』に落ち武者の幽霊役で出演していた更科六兵衛さん(西田敏行)が本作では存命で、しかも「死んだらおしまい」と説得力あるんだかないんだかよくわからない発言をし、笑わせてくれました。
映画が素晴らしいのはもちろんですが、私はこのスティール写真に魅了されました。時代劇ですが、顔のアップの画像を並べたポップなデザイン。そして何より素晴らしいのは、衣装が切り取られた顔のアップだけで役者がそれぞれ性格や立場を表現しています。役者の演技力あってこそのデザイン。素晴らしいと思います。
銀魂
廃刀令の元、名刀紅桜の所在が不明になる。妖刀とも言われる紅桜を探して欲しいと坂田銀時(小栗旬)の元に依頼が入る。そんな中、江戸の町では辻斬りが横行する。。
鑑賞日:2017年 7月14日 |
映画館:ー |
江戸という時代背景の中で妖刀や宇宙線などが普通に出てくるSF映画。江戸の時代に現代の電化製品が普通に置いてあるし、キャラクターは何でもありのはじけっぷり。結末もSFで、まるっきりわからない。監督、福田雄一のエッセンスも加わった、くだらなすぎて(!?)面白い映画でした。
原作は少年ジャンプの漫画です。作品中にジャンプ関連のキャラクターを引用するのはわかるのですが、『ガンダム』や『ナウシカ』まで、ちょっと心配になってしまうほど他作品の引用が適材適所にあり、笑いを誘います。また、エリザベスをオバQと言ってくれることで、おばさんのワタクシ、スッキリします。
美男美女の俳優が多数出演する中、一番印象に残ったのが神楽を演じる橋本環奈さん。あんなに可愛い顔をしてるのに白目むいたり鼻をほじったり、見せ場の一つを担当しています。
銀魂2
真撰組副長、土方十四郎(柳楽優弥)は攘夷浪士たちの手により首にチップを埋め込まれ、二重人格になってしまう。手を下したのは真撰組副長の座を狙う伊東鴨太郎(三浦春馬)だった。土方は自分の意思に関係なく非力な男になってしまうことから、坂田銀時(小栗旬)に真撰組を守るように依頼する。銀時は真撰組乗っ取り回避の戦いの中、江戸の町を手中にしようと企む高杉晋助(堂本剛)の姿があることに気付く。
鑑賞日:2018年10月 7日 |
映画館:ー |
前年大ヒットした『銀魂』の第二弾。本作は前作よりも感情の描写が深く、相変わらずのドタバタSFでありながら人間ドラマになっています。
イケメンの無駄遣いと言われる本作、他の作品では主役を張るような俳優陣が大勢出演しています。
終盤まで真撰組内の力関係と混乱を描いています。
イケメンたちの男気ある行動の中、内気でナイーブなトッシー(土方十四郎=柳楽優弥)が異質でしかも面白いです。福田雄一監督のドラマ『アオイホノオ』主演から三の線も見せる柳楽優弥。硬派な真撰組副長とオタッキーなトッシーの二役を見事に演じ分けてます。
本編上映前の主演三人(銀さん、神楽、新八)の会話で、前作『銀魂』は日本アカデミー賞に全く引っかからなかったものの、別作品で菅田将暉が最優秀男優賞を受賞したことをイジっていて、笑ってしまいました。
黒蜥蜴
美しいものに魅せられ、美しいものに囲まれ生きる女盗賊、黒蜥蜴(丸山明宏)。宝石商の娘、早苗(松岡きっこ)を誘拐しダイヤと交換を要求するが、美しい娘を手放すのが惜しくなる。明智小五郎(木村功)は早苗を奪還するために黒蜥蜴の屋敷に忍び込む。
鑑賞日:2013年 9月20日 |
映画館:東京都写真美術館 |
美輪明宏(当時の芸名は丸山明宏)のドキュメンタリー映画『美輪明宏ドキュメンタリー・黒蜥蜴を探して』に合わせて上映されていました。しかし2本立てではありません。
何の予備知識もないまま見に行きました。原作は江戸川乱歩、脚色は三島由紀夫ということでした。なるほど、作品は『人間椅子』を思わせる不気味さがありました。社会の常識とかけ離れた美意識をもつ人間も登場し、不気味さと怪しさが混在した独特の世界でした。三島由紀夫が人間剥製の役で唐突に出てくるのでビックリしましたが違和感がないから不思議です。
主役を演じる人は美輪明宏さん以外になく、美しさ、妖艶さ、そして無邪気さが素晴らしかったです。特に、無邪気な表情には驚きました。美輪さん自身が若いからこそできた表情なのかもしれません。
幸福
村上刑事(水谷豊)は北刑事(永島敏行)と殺人事件の現場に駆け付る。そこで北は被害者の中に恋人の庭子(中原理恵)の姿を確認する。事件解決のため村上は傷心の北を伴って庭子の身辺調査を開始すると、北も知らなかった庭子の行動が見えてくる。
鑑賞日:1982年 4月29日 |
映画館:文芸座地下 |
『駅 STATION』と2本立で観ました。
話の内容はきれいさっぱり忘れていました。パンフレットによると、妻に去られ男手一つで2人の子供を育てている村上は、事件を追いながら、それぞれの家庭や自身の家族の幸せについて考えていく人間ドラマだったようです。
【当時の鑑賞日記】
あんまりおもしろくなかった。だけど、話の進め方がなかなか面白かったよ。
市川崑監督作品に「話の進め方がなかなか面白かった」と言っています。話の内容は忘れていますが、画像が過去と現在が交差する見せ方だったような記憶が微かにあります。
氷の花火 山口小夜子
山口小夜子のドキュメンタリー。
鑑賞日:2016年 5月12日 |
映画館:早稲田松竹 |
「私は」という一人称で始まるこの作品は、生前の山口小夜子と交流のあった松本貴子監督が小夜子へのオマージュで作ったドキュメント映画。小夜子への視点がファンと同じ部分が多く感動的だったのと、ミステリアスな彼女のプライベートを覗くようなうしろめたさをも感じました。
本作は東京都現代美術館で開催された『山口小夜子未来を着る人』の準備風景とリンクし、小夜子の遺品を広げるところからはじまります。交流のあった方々へのインタビューや、資生堂のCM、ファッションショーの様子などから山口小夜子を追っていきます。小夜子の高校の同級生のインタビューにはドキリとしました。その口からは無邪気な中学・高校時代の姿が語られ、謎に包まれた私生活を覗き見してしまったような軽い罪悪感。しかし! 小夜子はミック・ジャガーが好きだったとわかり、ストーンズフリークの私はちょっとニンマリしてしまいました。
唯一『?』と思ったのが、モデルを使って山口小夜子を再現させる企画。小夜子とは動きもオーラも全く違うモデルに小夜子そっくりの格好をさせて、スティール撮影をしている様子が写し出されていました。スタッフは大喜びでしたが、映像の限りではその感動に共感できませんでした。
小夜子最後のショーの映像もありました。これがまた素晴らしい!(私は過去に一度だけランウェイの小夜子を見たことがありますが、その時とはまた違ったオーラがありました。)美しき憑依とでも言うのでしょうか? 神がかりのオーラと言ったら言い過ぎでしょうか? 数年前に「抜け目のない未亡人」というお芝居で大竹しのぶさんを始めて生で見た時にも同じ感覚に陥りましたが、小夜子のそれは映画での映像。実際にこの時の小夜子をこの目で見られたらハンパない衝撃だったでしょう。
クールビューティ小夜子の、内に秘めた熱い想いを見た思い。映画のタイトル『氷の花火』とはまさに山口小夜子を言い当てた言葉だと思いました。