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夜叉ヶ池

 《 STORY 》
福井と滋賀の県境にある夜叉ヶ池には龍の伝説があった。夜叉ヶ池に程近いその村には、日に3度鐘を突くことで池に眠る龍の魂を鎮め氾濫を防ぐことができると信じられ、その言い伝えを忠実に守っていた。
釣鐘堂の傍に美しい女性ユリ(坂東玉三郎)とあきら(加藤剛)が暮らしていた。3年前にあきらがこの村を訪れた時に鐘撞きの男が死亡し、村で彼の代わりをする者がなかったので、あきらが引き継ぐ事になってしまっていた。
大正2年夏。山澤(山崎努)が夜叉ヶ池を訪れる道中でユリと出会う。山澤はあきらの旧友で、二人は再会を喜んだ。
村では長くかんばつが続いていた。村人は夜叉ヶ池へ生贄にユリを差し出そうと、あきらの留守中にユリを連れ出そうとする。
鑑賞日:2026年 1月30日
映画館:新文芸坐

夜叉ヶ池

泉鏡花原作、篠田正浩監督の龍神伝説。坂東玉三郎&加藤剛が見たくて行きました。終盤の特撮は凄かったけどそれ以上に玉三郎さんが印象的でした。

雨乞いのためにユリを生贄に差し出そうとする村人たち。その村では女が道具のよう。夜這いを男の正当な行為として暗黙の了解がある村で、女を生贄にすることに心を痛める人がどれだけいたでしょう。

その村では過去に白雪(玉三郎さん2役)を生贄にしたことがあり、生贄で村が守られていると信じています。哀れ白雪は剣ヶ峰にいる愛する人を思いながらも村のために夜叉ヶ池の奥深くに留まります。自分の恋心の高揚とそれを押し殺す姿が坂東玉三郎の力で妖艶に美しく表現されていました。

村人がユリを連れて行こうとする時のユリを守るあきらがかっこいい! ユリを守り抜く姿勢が言葉にも行動にもあらわれています。これ、加藤剛ファンは必見ですね。「茨の道はおぶって通る」なんて、シンプルな台詞だけどグッときます

玉三郎さんの女形の演技にあらためて驚きました。(『夢二』で見た玉三郎さんは男性でした)ゆりも白雪も非常に美しい! ゆりさんの所作は女性以上に女性らしく(!?)さらにはうなじの美しさに目を見張りました。夜叉ヶ池に住む白雪は神とも妖怪ともわからぬ妖艶な姿。さすが歌舞伎役者! と思いました。

これまで私は山崎努さんを『八つ墓村』『スローなブギにしてくれ』『マルサの女』で常識を逸脱したエロい親父役ばかりを見てきました。主役を支える普通の人(!?)を本作で初めて見ました。いい人でした。

加藤剛さんの声が素敵なのはわかっていますが、本作を見て驚いたのが三木のり平さん。鮒(ナマズ?)の役ですが、声までも印象的なお芝居でした。きっと声優でも表現ができる人でしょう。


八つ墓村

 《 STORY 》
永禄9年(1566年)、村に流れてきた落武者八人を村人たちが毛利家のお達しと金のために祭りの夜に騙し討ちで殺害する。落武者を殺した4人の村人の筆頭は毛利家から広い土地の所有を許される。
東京に住む寺田辰弥(萩原健一)に母方の祖父(加藤嘉)が会いに来る。と同時に、祖父はその場で倒れてそのまま亡くなってしまう。辰弥は祖父の葬儀のため、母鶴子(中野良子)の実家の岡山へ森美也子(小川真由美)の案内で向かう。辰弥の到着後、村では次々と殺人が起こる。探偵の金田一耕助(渥美清)と警察は犯人を推理する。
鑑賞日:2025年 5月28日
映画館:神保町シアター

八つ墓村

横溝正史原作の大ヒット映画。公開当時(1977年)「祟りじゃ〜!」という台詞が大流行しました。

戦国時代の落武者を騙し討ちした中心人物の子孫が多治見家で、昭和に入ってからもその莫大な資産を持ち続けています。その当主であった多治見要蔵(山崎努)が辰弥の母が失踪してから気が狂い32人もの死者を出す大惨事を起こします。お金の力でなんでも思う通りに動かしていたであろう要蔵にとって、妾の鶴子の失踪は我慢ならなかったのでしょう。おそらく鶴子は男の元へ行くと推測したんでしょうね。監禁して妾だなんて、そりゃ逃げられますよ。鶴子の子供の父親が要蔵ではないことが唯一の救いです。

金田一耕助役の渥美清さんが、ぶっきらぼうな車寅次郎とは違い、物腰柔らかに人々に寄り添っていました。

老婆の二人、特に市原悦子さんが一番滑舌が良かったです。

八つ墓村

主役の萩原健一さんのかっこよさにびっくり。ふとした瞬間の姿に色気を感じました。色気を見せる作品ではないのに、溢れ出るオーラ。『虹をわたって』のショーケンは車をぶっ飛ばすチャラ男でしたが、数年経ち、大人のかっこよさが出ていました。ショーケンはグラビアでもびっくりするほど色っぽい時があります。(でも…。子供の頃はショーケンを怖い人だと思っていました)

エンドロールを見てびっくり。風間杜夫さん、どこにいた?


夢二

 《 STORY 》
人気画家 竹久夢二(沢田研二)は妻と別れ、彦乃(宮崎真澄)と駆け落ちのために金沢へ。ひと足さきに金沢に着いた夢二。彦乃の到着を待つも、親の反対に遭い、結核を患う身の彦乃はなかなか現れなかった。手持ち無沙汰の夢二の目に美しい人妻 巴代(毱谷友子)が止まる。
鑑賞日:2023年11月27日
映画館:ユーロスペース

鈴木清順監督の生誕100周年を記念し【浪漫三部作】『ツィゴイネルワイゼン』『陽炎座』『夢二』が4Kデジタル完全復刻版として上映されていました。

鈴木清順夢二鈴木清順

非常に人気の高い鈴木清順監督。私は本作品で初めて鈴木作品を見ましたが、非常に芸術的で、凡人の私には何が言いたいのかさっぱりわかりませんでした。

愛と死、現実と幻想が交差します。自分本位の夢二が女性に求めていたのは愛ではなく、性欲のはけ口、または被写体として自由にできるモデルだったように思います。しかし、本作では絵を描きたいという意欲が全く見えません。本作の竹久夢二は『HOKUSAI』の柳楽優弥のような情熱的な絵描きではありませんでした。

画家の画業の部分が描かれていない本作品。描きたかったのは夢二の女たらしの腕前だったのでしょうか?

孤独で孤高の画家で尚且つ稀代の女たらしを沢田研二が好演します。沢田研二の美しさが黙っていても夢二の孤独と純粋さを映します。沢田研二は声が甘いなぁと再確認してしまいました。


洋菓子店コアンドル

 《 STORY 》
鹿児島の洋菓子店の娘 臼場なつめ(蒼井優)は、パティシエ修行のために東京で働く恋人の海千鶴(尾上寛之)を追いかけて勤務先の洋菓子店コアンドルを訪ねる。しかし海はすでに退職していた。途方に暮れたなつめはそこで働かせてほしいと頼む。オーナーの依子ウィルソン(戸田恵子)の知人で伝説のパティシエと言われた男 十村遼太郎(江口洋介)はなぜかパティシエを辞め、評論家になっていた。そんな折、コアンドルに大きな仕事の依頼が入る。
鑑賞日:2011年
映画館:?

洋菓子好きなワタクシ、美しい洋菓子がたくさん出てくる本作に興味を持ち鑑賞しました。蒼井優、江口洋介 W主演です。

洋菓子コアンドル洋菓子コアンドル

なつめの成長と共に周りの人々も成長していきます。よくあるパターンの話なのです。が。お菓子がとても綺麗で、そのせいか画面が艶やかでした。そして蒼井優さんの鹿児島訛りがとっても可愛い。「がんばれ!」と応援してしまいます。(鑑賞後しばらくの間、蒼井優さんの「海くんいますか?」が頭から離れなかった)

常連客の芳川(加賀まりこ)も品があり、お菓子を食す姿が美しい。しかし対照的に厨房は優雅とは程遠く、バタバタと非常に慌ただしい。特にマリコ(江口のりこ)の行動や表情は”パティシエあるある”で、どこかのパティスリーから連れてきたホンモノではないかと思うほどにリアルでした。

本作で使われているお菓子のほとんどが神楽坂のル・コワンヴェールのもの。こちらのパティスリーは本作で初めて知りました。行ってみると、あまり広くない店内に人が切れず出入りがあり、そこにはキラキラと美しいお菓子が並んでいました。

映画のパンフレットの巻末に撮影協力としてたくさんのパティスリーの名前が上がっています。


陽暉楼

 《 STORY 》
時は昭和の初め。女衒の勝造(緒形拳)は娘を高知の置屋 陽暉楼に預けていた。陽暉楼の女将(倍賞美津子)は勝造のかつての女だった。娘の房子は源氏名桃若(池上季実子)を名乗り、店一番の芸妓になっていた。大阪で勝造に囲われていた珠子(浅野温子)は一花咲かせたいから陽暉楼で働くと言い出す。しかし、芸妓よりも女郎になると言い、自ら女郎屋へ赴く。
大阪のヤクザの組長 稲村(小池朝雄)は勝造から百円を掠め取った女 丸子を捕まえ、陽暉楼に入れる。丸子の件で勝造は稲村から命を狙われることに。
鑑賞日:2025年 4月10日
映画館:神保町シアター

陽暉楼

勝造、房子、珠子の生き様を2時間半ほどに凝縮していました。誰を中心にした話なのかよくわからず、またやけに長い喧嘩や色気のないエロが私にはよくわかりませんでしたが、役者の演技はものすごかったです。

腕っぷしが強く色気があり軽薄な女衒を演じる緒形拳然り、男の気を引くために女郎になる無邪気な捻くれ者を演じる浅野温子然り、極悪な組長を演じる小池朝雄然り。

房子の池上季実子は綺麗でしたが、父や女将への想い、愛する人への想いなど、感情があまりよくわからず、主人公はこの人ではないのか? じゃ、誰だ? と思いました。

そして…。

小池朝雄が怖い。成田三樹夫が怖い。
小池朝雄は声も怖い。成田三樹夫は顔が怖い。

陽暉楼

声と言ったら風間杜夫。こんなに甘い声だったのかと改めてびっくり。役は勝造の舎弟で優しい男。面倒を見てやれと、勝造の愛人 珠子を押し付けられます。あれ? これどこかで見たことあるぞ…。『蒲田行進曲』の銀ちゃんがヤスに同じことしてましたね。その後、身を挺して勝造や珠子の命を守った秀さんはヤスよりも凄かった!?

・・・・・

鑑賞者はシニアの男性が多く、映画途中でいびきをかいて寝ている人が複数いたり、池上季実子と浅野温子の乱闘に笑い声を立る人がいたり、なんかちょっと私が知ってる客層とは違うなぁと感じました。