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  《 STORY 》
ニューヨーク市警のニック(マイケル・ダグラス)と同僚のチャーリー(アンディ・ガルシア)が食事をとっていた店で、日本のヤクザが佐藤(松田優作)に殺される。二人は佐藤を追い、逮捕する。日本へ護送するが空港で偽刑事に引き渡し、佐藤を逃がしてしまう。ニックとチャーリーは責任を感じるも日本での捜査権はなく、松本警部補(高倉健)の監視下に。そんな中、ほろ酔いのチャーリーが佐藤に殺されてしまう。目の前で友人を殺されたニックは松本と共に佐藤を追う。
鑑賞日:2014年11月20日
映画館:TOHOシネマズ 六本木

日本映画界の至宝、高倉健さんが11月10日に亡くなりました。突然の訃報に衝撃を受けたのは私だけではないでしょう。『ブラック・レイン』はもともと鑑賞する予定だったのですが、思わぬ追悼鑑賞になってしまいました。

主役を誰に置いているのか私にはわかりません。ニック、松本、佐藤、菅井の4人のうち、一番見せたかった男は誰だったのでしょう? 出番の少ない菅井が自己流でアメリカに復讐しますが、この感覚を理解できているのなら、リドリー・スコット、恐るべき男です。

本作は松田優作、高倉健がハリウッド映画出演と、かなり注目されていました。松田優作の遺作となった作品でもあり、その演技には鬼気迫るものがあります。機内でニックに向ける挑発も、チャーリーの殺害シーンも、空恐ろしいものがあります。(それにしても松田優作、早いです。存命なら今頃ハリウッドで活躍していたことでしょう)

高倉健がマイケル・ダグラスとうどんを食べるシーンで言った「汚れる」という言葉、物凄い衝撃でした。半紙に墨汁を落とすような広がりを瞬時にイメージしました。これは高倉健の口から発せられたからこそ伝わる言葉かもしれません。

左は高倉健さんへ東宝からのお悔やみ。右は『第二回 新・午前十時の映画祭』のおしらせと予告。

ブラックレイン上映時のTOHOシネマズ六本木 ブラックレイン上映時のTOHOシネマズ六本木

ベリッシマ
BELLISSIMA
  《 STORY 》
幼な子の娘を映画のオーデションに連れていくマッダレーダ(アンナ・マニャーニ)は娘をスターにしようとできる限りの手をつくす。オーディションは順調に勝ち進むが、マッダレーダはスタッフの理解できない行動を見てしまう。
鑑賞日:1983年12月 2日
映画館:八重洲スター座

八重洲スター座ニュース八重洲スター座ニュースこの月、八重洲スター座ではヴィスコンティ監督作を一週間ごとに二本立てで上映していたようです。(上映スケジュール表の表紙は『山猫』ですね)

本作『ベリッシマ』は『若者のすべて』との2本立てだったようですが、本作だけ鑑賞したようです。(『若者のすべて』は前年に鑑賞しています)

 【当時の鑑賞日記】

STORYは自分の子供をスターにさせようとするが芸能界の汚い面を見た主人公は考えを変えるという簡単なものなんだけど、なかなかステキでした。

芸能界なんていつでも笑っていられるのは最高に調子の上がってきた時だけその人を使う会社だけ。使った後は”ポイッ!”。この主人公が早くそれに気づいて自分の見た悪夢を恥じて自分の子供をもとの生活にもどしたのは本当によかった。

それにしても、けんかをしても本当にとっても優しいだんなさまがステキだった。

ヴィスコンティ監督作品にしてはホームドラマのような感じだったと思います。当時の鑑賞日記で語っているように”芸能界は汚いところ”なのか、私には知る由もありませんが、映画の世界に身を置くヴィスコンティがこんな作品を作るということは実に興味深いです。

  《 STORY 》
鑑賞日:1986年 8月30日
映画館:俳優座シネマテン

ベルリンは夜半券
この作品は全く記憶がありません。当時の鑑賞日記を見てみると、ナチス占領下のドイツの話だということしかわかりません。ジャクリーン・ビゼットが出演していたので見たのでしょう。

 【当時の鑑賞日記】

結局この人はドイツ人にもユダヤ人にもなれなかったんだと思うよ。生き延びるために仕方なかったのかもしれないけど。この時代のこの場所にいたユダヤ人としては失格だね。同じユダヤ人を警察に知らせていたユダヤ人と同じだ。

ユダヤ人で最も長く生きた人だね。こういうのを嘘も方便っていうのかな?

ベロニカ・フォスのあこがれ
DIE SEHNSUCHT DER VERONIKA VOSS
  《 STORY 》
ジャーナリストのロベルト(ヒルマール・ターテ)は雨に濡れる女ベロニカ(ローゼル・ツェヒ)と出会う。ベロニカは戦前の映画女優だった。一世を風靡した当時と、誰からも見向きもされない現在との間で心の平穏を保つには薬の力が必要だった。ロベルトはベロニカの主治医カッツ(アンネマリー・デューリンガー)がベロニカを薬漬けにして全財産を奪い、最後には殺害する計画を立てている事に気付く。
鑑賞日:1983年 9月 4日
映画館:三百人劇場

ベロニカ・フォスのあこがれ半券ベロニカ・フォスのあこがれパンフレットぴあの招待状が当たり、観に行きました。三百人劇場は千石にあったキャパ300人の小さな劇場で、映画館だったのか芝居小屋だったのか、よくわかりません。

 【当時の鑑賞日記】

かわいそうな人だね。演技と現実を区別できなくなちゃって。

これは麻薬のせいだけど、どうして麻薬に手を出したのかな?女医カッツさんってやな感じ。

ベロニカ・フォス役のローゼン・ツェヒさんがとてもきれいだった。

ベロニカにはモデルがいて、ドイツ人女優のシビレ・シュミッツだという。シビレ・シュミッツは46歳の若さで自殺したようです。

冒険者たち
Les Aventuriers
  《 STORY 》
エンジニアのローラン(リノ・バンチュラ)とパイロットのマヌー(アラン・ドロン)と芸術家のレティシア(ジョアンナ・シムカス)は墜落した飛行機が積んでいた財宝を探しに船に乗り込む。
鑑賞日:1986年 7月21日
映画館:文芸坐ル・ピリエ

文芸坐ニュース文芸坐ニュース


当時アラン・ドロンのファンだったこともありますが、この映画はかなりのお気に入り作品でした。当時の鑑賞日記からもその興奮ぶり(?)がうかがえます。

また、ヨーロッパ映画とアメリカ映画の傾向の違いを気にし始めたのもこの頃です。(おそっ!)

本作は『地下室のメロディ』と二本立てでした。


 【当時の鑑賞日記】

この作品もそうなんだけどさ、どうしてドロンが出ている映画はハッピーエンドで終わらないんだろうね。

この作品は歯がゆいというよりは虚しいといった感じ。でもあんなに生き生きとした、活動的で楽しそうなドロンの姿は初めて見た。本当にステキだった。最後マヌーが死ぬときのセリフ

ローラン:「レティシアがお前のこと好きだって言ってたぞ」
マヌー:「うそつきめ」
泣かせるねー。

映画の中で日本人のキヨバシという役の人がちょこっと出てたり、その人の部屋に日本語のポスター(…の歌と書いてあった)があったり、日本料理屋でドロンが箸を使っている場面があったりした。

それにしても飛行機で凱旋門をくぐるという考えは感動したね。自動車と飛行機がじゃれながら走っているのなんて、ほんとかわいかった。こんな生き生きとした楽しそうなドロンは初めて見た。

北北西に進路を取れ
NORTH BY NORTHWEST
  《 STORY 》
秘密諜報員と間違われフィリップ・バンダム(ジェームズ・メイスン)の一味に誘拐されたロジャー・ソーンヒル(ケリー・グラント)。どうにか脱出したものの外交官殺人事件に巻き込まれる。警察とバンダムに追われる身となったロジャーを列車内で イヴ・ケンドール(エヴァ・マリー・セイント)に助けられる。しかしイヴはバンダムの丈夫だった。
鑑賞日:1987年 2月23日
映画館:文芸坐ル・ピリエ

文芸坐フライヤー冷戦時代の秘密諜報員たちの駆け引きに一般人が巻き込まれてしまいます。怒りのケリー・グラントは映画終盤では愛する女を守りながらラシュモア山の4人の大統領の顔を逃げ回る、諜報員さながらの動きを見せます。

それにしても映画の中とはいえ「いい顔」だと繰り返し言われるケリー・グラントは嬉しかったでしょうね。ヒッチコック監督がそう思っているのでしょうね。

 【当時の鑑賞日記】

んー、何て言うのかなぁ…。いまいちメッセージが伝わってこないのよね…。はっきり言うと面白くなかった。アメリカから見て北北西っていうのはソ連のことなんだっていうのしかわからなかったもんなぁ…。

ケリー・グラントがシャワーを浴びてる時に『雨に唄えば』の口笛を吹いてた。かわいい。

本作は『知りすぎていた男』と二本立てでした。いい組み合わせですね。

  《 STORY 》
ある日、地球に侵略者が攻撃を仕掛けてくる。プリンス・ザルドス(マーティン・デル・ロザリオ)率いるボアザン星人だった。ボルテスチームが数々の犠牲をはらいながら応戦。激しい戦いが繰り広げられる。
鑑賞日:2024年10月23日
映画館: ー 

ボルテスV

私が小学生の頃見ていたテレビアニメ『超電磁マシーン ボルテス V 』がフィリピンで大変な人気になっているということは随分前にTVで見て知っていました。オープニング曲は国歌に匹敵するくらい認知され、曲を歌った堀江美都子さんは国賓のように扱われているそう。本作はそんなボルテス愛蔓延の国フィリピンで製作された実写映画です。

主人公の母役の吹き替えを堀江美都子さんが勤めていることから、吹替版を見てきました。実写なので戦隊モノを見ているようでしたが、アニメの世界観に忠実だと思います。一平(青の服の人)役が馬に乗って登場すると、子供だった当時の記憶が蘇ってきました。そう、青の人と赤の人は仲が悪かったことも。(赤は熱血漢、青はニヒルな二枚目)

アニメのプリンス・ハイネルは切れ長の目で、品があり、声も綺麗で高貴な感じでした。実写の方では甘いマスクでイメージがちょっと違うも、衣装が手伝ってプリンス・ザルドスになっていました。ボルテスチームの強さを前に呆然としてしまう姿はよく表現されていたと思います。当時のアニメのハイネルが蘇りました。

『機動戦士ガンダム』の人気があまりに高く、それ以前の日本サンライズが制作したアニメ作品に日の目が当たりませんが、『超電磁マシーン ボルテス V 』はよくできた作品だったと思っています。『機動戦士ガンダム』に落とし込まれるエピソードも盛り込まれていますし。

本作は主人公3兄弟の母マリアンヌ・アームストロングの愛が全面に出ている作品でした。そしてきっと、父をクローズアップした完結編が製作されるに違いありません。

当時のアニメを劇場版で見ることは叶いませんが(金山明博さんのキャラクターたち)続編もきっとあると思うと楽しみです。