鑑賞日:2022年10月 9日 |
映画館:TOHOシネマズ 上野 |
タレントで東京海洋大学名誉博士でもあるさかなクンの生い立ち。何処まで忠実でどの部分が創作なのかわかりません。ちょっと悲しい思いもした青年なのでしょうが、その純粋さゆえにサポートする人が絶えません。一番のサポーターが母親で、ミー坊がお魚博士になっていく過程を踏めたのは彼女の愛です。
男の子の役をのんちゃんが演じます。映画を見る前は疑問に思っていたのですが、さかなクンを演じられる人は性別を超えても彼女しかいなかったのでしょう。納得のキャスティングです。
さかなクン本人もギョギョおじさんとして登場します。ギョギョおじさんとミー坊との別れは切なく、悲しいです。
映画内にはさかなクンの絵が出てきます。さかなクンの絵は生命力に溢れ素晴らしく、さかなクン自身が映画に深く関わっています。
作品を通して、子供の個性や教育を考えさせられ、心の揺れや心の持ち方の強さなど見せてもらいました。コメディタッチですが深い映画です。
鑑賞日:2008年 夏頃 |
映画館: ? |
三谷幸喜監督の映画第4作目。封切り前にはTVでも繰り返し宣伝がなされ、とても楽しみに観に行きました。売れない役者を映画の撮影と偽り、事件に巻き込む。この思いきりのいい発想が素晴らしいです。
マジックアワーとは映画用語で、夕暮れのほんの一瞬の美しい空のことだそうです。その一瞬の輝きが村田の演技だったのならちょっとかわいそうな気もしますが、最高の瞬間と言われればそうだったのかもしれません。村田は”売れない役者”ではありますが、映画撮影の現場ではたくさんのスタッフに愛されています。それは役者にとって大切な要素の一つです。また、売れなくても役者道は貫いているようで、三谷幸喜監督の次の映画『素敵な金縛り』に役者の姿でほんの一瞬出演していました。役者を諦めていません!
この映画で一番印象に残ったのは小日向文世さん演じる村田のマネージャー。逸早く本質に近づこうとするもマネージャー業に追われ核心に触れられません。その存在が映画を面白くしています。ビリー・ワイルダー監督作品で脇役として出演するジャック・レモンのようです。
映画『グレートレース』のドロシー・プロバインのように、舞台上の三日月に腰掛けて歌う深津絵里さんがキュートですね。
また、本作品には『THE 有頂天ホテル』のベルボーイ憲二(香取慎吾)が夜の守加護で路上ライブを行っています。手塩商会の地下室には『THE 有頂天ホテル』で登場する爆笑した鹿のイラストが描かれた段ボールが積み上がっていました。
鑑賞日:2014年12月 9日 |
映画館:TOHOシネマズ六本木 |
写し出される町並みや音楽に昭和の匂いが感じられますが、古臭くない、愛がテーマの映画です。
高倉健のかっこよさと、回想の倍賞千恵子のかわいらしさが際立ちます。結末がわかっているのに見入ってしまうのは山田洋次の力か、高倉健の表情か。再会に抱擁しないところがこの映画のセンスのいいところで、倍賞千恵子の気持ちも言葉もすべてを黄色いハンカチの枚数が代弁しています。単純なストーリーですが素晴らしい作品です。
鑑賞日:2011年12月15日 |
映画館: ? |
三谷幸喜監督の映画第5作目。アリバイを証明するために幽霊を法廷に出廷させるというアイデアが三谷幸喜らしいです。
作品には幽霊の他にあの世から来た男など、特殊な人達が登場します。現実離れした話の中で事件解決をしていきます。宝生の父の幽霊が娘と心を通わせるというこれまた現実離れをしたおまけもついてきます。三谷流人情話ですね。
本作には『THE 有頂天ホテル』のコールガールが登場します。
鑑賞日:2015年 3月17日 |
映画館:新天地シネマズ 錦糸町 |
松本清張の原作であることと加藤剛が出演しているという以外はなんの予備知識もなく鑑賞しました。
本作は殺人事件の背景にある、社会から排除された孤独な父子が描かれています。
ハンセン病の知識不足から引き離された父子。自分の病状や息子の行方もわからない父はさぞかし辛かったでしょう。生きる望みは息子との再会だけ。一方息子は父の病気をどれだけ理解できていたのかわかりませんが、多くの人々に蔑まれた結果、情の薄い男になります。親子は共に会いたかったはずなのにお互い避けてしまったのは、父は社会的な成功をおさめた息子への思いやり、息子は将来の自分の姿と誤解し父の姿が怖かったのかもしれません。殺意がいつどのように生まれたのかはちょっとわかりませんでしたが、消したい過去を呼び戻す男を受け入れられなかったのでしょうね。
当時、実際にハンセン病の知識不足から大変な差別を受けた方が多かったと思います。本作が40年前に製作されたことを考えると、社会的にも大きな影響を及ぼした作品だったでしょう。
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最近ではグッドルッキンガイのことをイケメンと呼んでいます。テレビをつければ毎日のように注目のイケメン、ニューフェイスのイケメンが取り上げられています。でも私は、若い頃の加藤剛さんよりもイケメンな日本人はいないと密かに思っています。NHK大河ドラマ『風と雲と虹と』で初めて加藤剛さんを見た子供の頃からずっと。
鑑賞日:1983年 7月12日 |
映画館:新宿京王1 |
大島渚が監督し、坂本龍一、ビートたけし、デヴィッド・ボウイが出演した映画。
撮影参加前後のビートたけしさんがあちこちのテレビやラジオで撮影秘話を披露していたことも手伝い、大変注目されていました。日本国民が公開を心待ちにしていたと言ったら言い過ぎかもしれませんが、かなり大きなニュースでした。また坂本龍一さんが作ったテーマ曲も大ヒットしました。(テーマ曲はインストロメンタルですが、確かデヴィッド・シルビアンがボーカルを吹き込んだバージョンもあったと思います)
【当時の鑑賞日記】
とてもよかった。
戦争ってとても怖いよ!人間の個人的な感情は入れちゃいけないんだ。感情で動く人間は殺さなくっちゃいけないんだ。それならどうして戦争が起こるんだろう…。
たけしがはじめに言った「メリークリスマス Mr.ローレンス」というのは何だったんだろう。最後の「メリークリスマス Mr.ローレンス」は寂しすぎる。たけしで始まってたけしで終わった。音楽もよかった。
戦争体験のない私には鑑賞当時も今も、死と隣り合わせの戦時中の人間の心理を理解することは難しい。命の尊さは全世界共通であるはずなのに、生き急ぐような日本兵と捕虜の間には”生”に対する執着が逆転しているように見えます。しかしどんな極限状態に陥っても人間が愛情を抱くのは共通のようです。
二・二六事件に参加できずに死にはぐったと思い続けるヨノイ大尉は自らの死に場所を探していたのかもしれません。そんな彼の前に現れたセリアズ少佐は心を乱す悪魔であり、同時にささやかな希望だったはず。『男が男に惚れる』という精神的なものでなく、セクシャルなイメージで惹かれて行くヨノイ大尉。本作は戦争映画ではなく純粋な愛がテーマの作品だと思います。
デヴィッド・ボウイが亡くなった時、テレビでビートたけしさんが衝撃の秘話を語っていました。セリアズ少佐がヨノイ大尉と頬を合わせるシーンで映像がコマ送りのようになっているのは、カメラの故障で意図的なものではなかったとのこと。取り直しをしたものの、コマ送りの方がよかったのでそちらを採用したそうです。本作で一番注目すべきシーンは、たけしさん言うところの『奇跡』が生み出したようです。