鑑賞日:1994年 7/2〜7/31 |
会 場:三越美術館・新宿 |
1980年代後半から1990年代前半にかけて世界的にスーパーモデルブームがありました。パリコレなどのファッションショーやファッション雑誌のカバーを飾る、トップモデルの中でも特に高給取りのモデルを『スーパーモデル』と呼びました。
スーパーモデルは世界中で人気を得て大ブームになり、デザイナーが自身のファッションショーにブッキングするのに取り合いになったり、彼女達の持ち物と同じ商品が品薄になったり、彼女達に特化したグラビアを載せる『TOP MODEL』が出版されたりと、女優のような注目度でした。当然ファッションフォトグラフにも注目が集まり、このような写真展が沢山企画されていました。
本展は副題の通り、19世紀から20世紀のファッション写真を紹介していました。私が好きなファッションフォトグラファー全てを網羅してはいませんでしたが、有名どころのファッションフォトグラファーとその代表作を紹介していました。フォトグラファーを紹介する教科書のようでもありました。(教科書というよりは入門書かな)
たくさんのフォトグラファーのグラビアが並んでいましたが、一番人気はピーター・リンドバーグで、特に図録の表紙になっているグラビアはスーパーモデルが8人も並んでいることもあり、たくさんの人が足を止めていました。
図録の巻末に年表があるのですがこれが興味深い。写真の歴史、ファッション界の出来事、世界史(+日本史)の3段組になっています。
私は日本における写真の歴史を、2015年に江戸東京博物館の『浮世絵から写真へ 視覚の文明開化』で、そして2017年に日本カメラ博物館の『日本カメラ博物館コレクション・世界のカメラ100選』で見ました。本展図録の年表を見ると、写真史にポール・ナダールや上野彦馬が前後に名を連ねていて大変興味深い。日本の写真技術の発展は海外と大きな差はなく、日本が必死に、貪欲に世界の後を追っていった事がわかります。
またファッション界では、写真技術発展と同時期に革命的な変化がありました。ファッションの美しく華々しい変化を捉えるためにフォトグラファーたちも色めき立った事でしょう。写した姿はバニティなのかドキュメンタリーなのか。