カサブランカ
Casablanca
モロッコの都市カサブランカには、ナチスから逃れ渡米を希望する人々で溢れていた。
カサブランカでカフェ・アメリカンを経営していたリック(ハンフリー・ボガード)は犯罪がらみの旅券2冊を預かることに。そこへヨーロッパの政治結社のリーダー、ラザロ(ポール・ヘンライト)と妻イルザ(イングリッド・バーグマン)がやってくる。リックとイルザはかつてパリで恋人同士だったが、突然イルザが姿を消し、そのまま別れていた。突然の再会にイルザは狼狽し、リックも衝撃を受ける。リックの手元に宙に浮いてしまった旅券が2冊あることを知ったラザロは譲ってくれるようにリックに申し出るが断られてしまう。そんな中、ラザロ逮捕の手が伸びていた。
鑑賞日:1983年 1月 4日 |
映画館:文芸座 ル・ピリエ |
本作品は『誰がために鐘は鳴る』との2本立てで見ました。
【当時の鑑賞日記】
よく内容がわからなかったけど、やたらとしゃべる言葉がキザだったね。もう一度観てみたいな。
感動の『誰がために鐘は鳴る』の直後に見たせいか、当時の私には本作を深く理解出来なかったようです。ただただ記憶に残ったのはバーグマンの美しさ。『誰がために鐘は鳴る』のマリアに驚き、『カサブランカ』のイルザにノックアウトされました。
左画像は公開当時の復刻版パンフレットです。冊子ではなく、三つ折りの紙です。鑑賞当日ではなく、2回目以降の鑑賞時に映画館で買ったと思います。
ガス燈
GASLIGHT
1875年、ロンドンで殺人事件が起こる。
伯母アリスが殺害された家から飛び出して、イタリアへ渡ったポーラ(イングリッド・バーグマン)。そこで知り合い結婚したグレゴリー(シャルル・ボワイエ)は一緒にそのロンドンの屋敷に住もうという。気味が悪い家でも愛する夫となら大丈夫だと思っていたポーラに異変が起こる。バッグに入れたはずのブローチが無くなったり、無くしたと思った夫の時計が出てきたりした。グレゴリーに忘れっぽいと責められるポーラは次第に神経を病んでしまう。偶然ポーラを見た探偵のキャメロン(ジョゼフ・コットン)はアリスに生写しのポーラを見て、未解決のアリス殺害事件の真相を追う。
鑑賞日:1985年 3月30日 |
映画館:三越ロイヤルシアター |
当時私は受験生だったので、一番好きだった映画鑑賞を断ち勉強に励んでいました。なので当時の鑑賞日記は歓喜の雄叫びから始まります。
【当時の鑑賞日記】
映画見てきたよー えーん えーん 7ヶ月ぶりだよー。
ほんとーはヴィスコンティを見て映画開きをしたかったんだけどバーグマンだから許す。
よかったですね〜。この主人公のこれからが見たいかんじ。なにもかも失って・・ってかんじだからね。
シャルル・ボワイエさんってステキです。バーグマンの演技が光ってました。
この作品はこの時一度きりしか見ていませんが、バーグマンの不安そうなオロオロした姿がはっきりと記憶に残っています。
画像は鑑賞時に購入した復刻版のパンフレットです。スバル座のもので、1947年6月3日の刻印があります。パンフレット内には手描きのレタリングがあったり、旧漢字などもバンバン出てきたりします。淀川長治さんも解説しています。(映画への愛情が溢れた文章です)写真も豊富で、美しいバーグマンと、悪人だけど上品なシャルル・ボワイエが見られます。広告がまた面白い。今はないダンスホールやデパートの広告が並びます。そして、スバル座次回上映作はグリア・ガースンとロナルド・コールマンの『心の旅路』です。
現金に手を出すな
Touchez pas au Grisbi
金塊を盗み出し、これを最後に裏稼業からの引退を決めたマックス(ジャン・ギャバン)は相棒のリトン(ルネ・ダリー)のミスから金塊を持っていることをアンジェロに知られてしまう。アンジェロはリトンを人質にし、金塊を要求する。
鑑賞日:2025年 2月 9日 |
映画館:シネマヴェーラ |
映画好きだった亡父が面白かったと語っていたうちの1本。子供心に”現金”を”げんなま”と読ませる違和感と耳に残る”音”に大変興味を持った作品でした。この作品を知ってから40年以上経て初めての鑑賞になりました。
ギャングに女が絡み事件が起こる。ありがちな展開ですが、非常にかっこいい。美しい女たち、生き物のような車、仲間を裏切らない硬派な男たち。そして…
とにかくジャン・ギャバンがかっこいい! 『地下室のメロディ』のジャン・ギャバンの印象が強いので、本作で一眼見て「若い!」と思いました。スーツ姿がビシッと決まってました。後ろ姿もかっこよかった。どこのブランドの仕立てだったのでしょうか?
ジャンヌ・モローは先日『死刑台のエレベーター』を見たばかり。『死刑台のエレベーター』は疲れた女でしたが本作は可愛かった!
因みに本作のトラブルの元になっているのは”現金”ではなく”金の延棒”です。映画の中の会話を聞きながら(字幕を読みながら)「延棒1本は3ポンドだな」と計算してしまった私。(合ってるよね? 30ポンドか?)その延棒が8本です。そりゃ奪い合いになっちゃうよね。だってギャングだもん。
41年前『汚名』を見た時に「久々に英語が聞けて嬉しかった。だって言ってること少しわかるんだもん。」と当時の鑑賞日記に書いていますが、今日は本作を見て「フランス語の言葉がちょっぴり聞こえた!」と思ったのでした。「エクスキューズモワ」レベルですが。
恋人よ帰れ!わが胸に
The Fortune Cookie
フットボール中継をしていたカメラマンのハリー(ジャック・レモン)はブンブン(ロン・リッチ)の体当たりをまともに受け、気を失ってしまう。弁護士の義兄ウィリー(ウォルター・マッソー)は脊髄を損傷したとして保険金を騙し取ろうと画策する。ハリーは、大金が入れば出ていった妻サンディ(ジュディ・ウェスト)が帰ってくるというウィリーの言葉に渋々納得する。怪我を負わせてしまった自責の念からブンブンは甲斐甲斐しくハリーの面倒を見るが、その姿にハリーは心を痛める。
鑑賞日:1986年 6月10日 |
映画館:三越ロイヤルシアター |
ビリー・ワイルダー監督作品。コメディタッチですがちょっと重いお話です。
【当時の鑑賞日記】
んー、なんか後味悪かったな…。あまりにもブンブンさんがかわいそうで。
まぁ、ハリーさんの性格からすると、この人も後々ずっと自分がやったことに苦しむだろうけど。なんといってもサンディさんが一番悪い! いつの時代にもこういう人がいるのね。終わりの方でコンタクトを探すサンディのお尻を蹴っ飛ばすハリーさんがまたなんて言うか人柄が出てるというか。
とにかく、あまりにもブンブンさんがかわいそうだった。もう少しいい終わり方がなかっただろうか。できることなら始めの時みたいに、チームの花形選手に戻してあげたい。ブンブンさんがかわいそうだ。もう少し良い最後が良かった…。
お金目当てに戻ってくるサンディも、弁護士でありながらチャンスとばかりに金を巻き上げよう画策するウィリーも、ある意味人間臭いですが好きにはなれません。弱みを握られたハリーは被害者でありながら加害者でもあります。選手生命を絶たれたブンブンさんが気の毒です。
心の旅路
RAND0M HARVEST
記憶喪失のチャールズ(ロナルド・コールドマン)は喜劇団の女優ポーラ(グリア・ガースン)と恋におち、スミスという新しい名前で幸せな生活を送っていた。ある日、チャールズは事故で失っていた記憶を取り戻す。陸軍大尉だったがすでに終戦を迎えており、亡き父の仕事を受け継ぐことに。記憶を取り戻したチャールズは、小さな家でポーラと一緒に過ごした幸せな2年間の記憶がなかった。しかし、発見された時にポケットに入っていた家の鍵を大事に持っていた。
チャールズの事業は大きくなり、秘書を雇うことに。秘書マーガレットはポーラだった。ポーラは過去に夫婦であったことを隠しチャールズのそばで働いた。チャールズは便宜上の結婚をすることになり、相手にポーラを選んだ。ポーラは愛のない結婚を悲しみ、一人旅に出る。旅に出る前に幸せな時間を過ごしたあの家に寄る。そこへチャールズが何かに引き寄せられるようにやってくる。長年手にしていた鍵を玄関ドアに差し入れると扉は開いた。背後からの呼びかけ「スミシィ」に2年間の記憶が蘇る。
鑑賞日:1987年 2月25日 |
映画館:シアターアプル |
【当時の鑑賞日記】
いやーーー 久々の名作、ヒット作でしたねっっっ! 2回も見てしまいました。
いやぁー、泣いてしまいましたよー、lastで! なんて言ったらいいのかなぁ…、ほんとステキでした!!
記憶を失う前のロナルド・コールドマンさんも、記憶喪失中のロナルド・コールドマンさん(んーと、前者がチャールズさんで後者がスミス)って同じく優しい人だね。うん、本当に優しい、いい人。子供が産まれた時のはしゃぎようったらかわいいの!
グリア・ガースンさんも綺麗だった。(マーガレットとポーラ)しかし頭がいいというか忍耐強いというか、私じゃあんなふうにできないなぁ。ほーんと、いい夫婦でいい作品だった。
それから、なんとなくグリア・ガースンってメリル・ストリープに似てると思った。そんで、ロナルド・コールドマンはバート・ランカスターに似てると思った。んー、いい作品だった。ヒット作 ヒット作
これは非常に感動的な作品で、ラストの「スミシィ」というグリア・ガースンの声(セリフ)は今でも頭に残っている。ポーラにとってはこの名前の呼びかけは賭けだったはず。「ポーラ」という答えに涙腺崩壊してしまいました。